肛門基本術式の実際
痔核・痔瘻・裂肛
今さら聞けない肛門手術の基本を豊富なイラストで徹底解説!
著 者 |
岩垂 純一 |
定 価 |
10,450円 (9,500円+税) |
発行日 |
2014/04/08 |
ISBN |
978-4-307-20327-2 |
A4判・204頁・図数:218枚
肛門手術においては、新しい治療法、術式が次々と登場して注目を浴びるが、まずマスターすべきは基本術式である。本書では、痔核の結紮切除術、痔瘻の切開開放術、裂肛のLSIS・SSGを取り上げ、筆者の経験から得た術式への工夫やこだわりを、豊富なイラストで徹底的に解説する。これから肛門手術に携わるビギナーだけでなく、改めて自らの手技を確認したい人にも、本書を大いに活用していただきたい。
肛門手術の基本・考え方
I肛門部の解剖
II肛門部と、その手術の特異性
III臀部の絆創膏の牽引
IV−1肛門手術創
IV−2なだらかな手術創を
IV−3良好なドレナ−ジ創の作成
V肛門手術を目指す若い先生方へ
第1章 痔核の手術 LE
I痔核手術における必要最小限の知識
1.痔核病変とは
1)痔核は余分なクッション
2)内痔核と外痔核、肛門管内外痔核と肛門管外外痔核
3)主痔核と副痔核
4)粘膜性痔核と血管性痔核
2.痔核手術の考え方
1)痔核手術は肛門手術の基本
2)必要最小限の手術を心がける
3)丁寧な手術を
4)全体的な調和を
3.基本術式は結紮切除術の半閉鎖術式
1)半閉鎖術式を行う
2)開創器を使用せず、肛門管外での手術操作に慣れる
3)根部血管の結紮を前もって行わない
II結紮切除半閉鎖術式の実際
1.手術の前にすること
1)指診による狭窄の有無の確認
2)有柄肛門鏡での診察
2.一つの主痔核切除操作
1)皮膚切開の前に行うボスミン加生食水の注射
2)皮膚ドレナ−ジ創の作成
3)肛門上皮部の操作:外痔核への操作
4)歯状線を越えての操作:内痔核への操作
5)根部結紮
6)粘膜下の痔核切除と止血
7)肛門縁までの半閉鎖
8)痔核切除
3.他の主痔核の手術操作
1)ひとつの痔核切除が終了するごとに視診にてチェックを
2)前方の痔核に注意
3)切除するのは3カ所が理想
4)隣り合わせた痔核の処理に注意
4.副痔核の切除
1)副痔核か、内痔核単独か、外痔核単独か、内外痔核かによって処理法を変える
2)副痔核への痔核粘膜下切除を主とした結紮切除術
5.創の点検:ドレナ−ジが十分か、牽引するテ−プを完全に緩めてから確認を
6.終了
IIIこんな時、どうするか
1.痔核が大きすぎ全周にわたるようだ
2.痔核が残存してしまった
1)創と創の間に存在する場合
2)切除創に隣接して存在する場合
3.切除後に狭窄がある
1)手術により生じた狭窄
2)術前より存在する狭窄
4.出血が止まらない
1)半閉鎖した部位の下からの出血
2)根部結紮した部位や、それより奥の粘膜下に血腫を形成してしまった
3)どうしても止血が困難な場合
5.裂肛、痔瘻の合併病変を伴う
1)切除すべき痔核に痔瘻が合併している場合
2)切除すべき痔核に裂肛が合併している場合
第2章 痔瘻の手術
I痔瘻手術に必要な知識
1.痔瘻を構成するもの:痔瘻は入り口がある膿の管
2.痔瘻の種類
3.痔瘻を治すに必要な条件:原発口、原発巣の除去
4.手術に必要な痔瘻の診断
1)二次口からの触診
2)示指による指診
3)示指と拇指による双指診
II痔瘻手術の考え方:基本は切開開放術
III痔瘻の術式の実際
1.低位筋間痔瘻の手術:切開開放術
1)術式の実際
2)肛門後方に位置する痔瘻:補助切開を加えてドレナ−ジ創を作成する方法
3)肛門前方、側方に位置する痔瘻:創縮小術
2.高位筋間痔瘻の手術
1)術式の実際
3.坐骨直腸窩痔瘻の手術
1)術式の実際
4.骨盤直腸窩痔瘻
第3章 裂肛の手術 LSIS、SSG
I裂肛手術に必要な知識、裂肛病変とは
1.裂肛とは
2.裂肛の種類
3.裂肛の急性期と慢性期
1)急性期
2)慢性期
II裂肛の手術方法
1.術式
1)LSIS;lateral subcutaneous internal sphincterotomy
2)SSG;sliding skin graft
IIILSIS
1.メス挿入部位の決定
2.開創器の挿入
3.浸潤麻酔
4.メスの挿入
1)どの部位から
2)どの高さまでメスを入れるか
5.内括約筋の解剖
6.内括約筋の切開
7.合併病変の処理
IV SSG
1.開創器の挿入
2.潰瘍周辺の切除:周りのポリ−プやskin tagの処理
3.括約筋切開
1)どの位置で括約筋切開するか
2)どこまで、どの深さで括約筋切開するか
4.粘膜皮膚縫合
1)縫い代はどの程度にするか
2)縫合に使用する糸
3)縫合は何カ所にするのが理想か
4)縫合の際の注意事項
5.皮膚弁移動の仕方
1)皮膚弁作成の位置
2)減張切開の深さ
3)どのように減張切開するか
4)皮膚弁移動後の皮膚欠損部位のドレナ−ジが重要
6.最後の処置
1)肛門後方のSSGで十分な拡張が得られない場合
2)皮膚弁左右の内外痔核の存在
3)肛門前方に内外痔核が存在する場合