00490T
6/16

3予測読みの極意50 2 )著者と読者の対話 論文読解は,著者との擬似対話である。文章の背後には,姿は見えないものの著者がいるはずである。対話を仕掛けてくるのは著者の方である。問いを投げかけるのも,最終的に答えを提示するのも著者で1.論文の予測読み 1 )予測読みとは 英文を読むために,一文一文をたどりながらひたすら英語⇒日本語に変換するのは,あまりに退屈な作業である。英単語を記号として解読することに終始していては,英文読解は無味乾燥でつらく厳しい作業になる。 論文を読むには,「予測読み」が推奨される。「予測読み」とは,先行する文脈を頼りに後続する文脈にあらかじめ見当をつけ,それを活用して文章を理解していく方法である。その先はこのような展開であろうと予測することにより,文脈の候補が絞られ,論理の流れに乗って読み進められるようになり,文章理解の効率が上がる。 論文は,Introduction,Methods,Results,Discussionの順に読み進めていく過程で,徐々に内容が明らかになっていくという性質の文章である。論文における論理構成は,Conclusionに向かって一直線につながっている。だからこそ論文は,他の種類の文章と比べても,予測読みをしやすい。 予測を心がけて読む習慣を身に付ければ,1本の論文を読むスピードが速くなる。実をいうと「予測読み」は,論文を普段から読みこなしている研究者にとっては,既に無意識に身に付けている技術である。

元のページ  ../index.html#6

このブックを見る