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86高齢・喫煙・肥満・糖尿病・慢性閉塞性肺疾患・心不全・ステロイド内服・腎不全・低栄養・脳梗塞の既往などがあります。緊急手術・再手術・術前長期入院もリスク因子です。術中のリスク因子として,手術時間・人工心肺時間が知られています。冠動脈バイパス術における両側内胸動脈グラフトの使用と縦隔炎発生との関連については先行研究の結果が一致していませんでした6-8)。術後因子としては,術後高血糖,低心拍出量症候群,人工呼吸器管理の遷延,輸血などがありました9,10)。こうしてみると,縦隔炎発症のリスク因子についてはすでに調べつくされており,新規のリスク因子を同定することは容易ではなさそうです。多数のリスク因子が重複している患者ほど,縦隔炎を起こしやすいといえそうです。ならば,既知の多数のリスク因子を組み込んだ臨床予測モデルを作成すれば,新規性のある研究になるかもしれません(臨床予測モデルについては,拙書『できる!臨床研究 最短攻略50の鉄則』を参照してください)。心臓大血管手術後縦隔炎の発症を予測する臨床予測モデルを構築した先行研究は散見されます11,12)。しかし,人工血管置換術後縦隔炎に特化した臨床予測モデルはあまりないようです。また,縦隔炎の死亡率は比較的高いものの,縦隔炎による死亡リスクを検討した研究も少ないようです。(ⅱ)PECO上記のレビュー結果も踏まえて,以下のようなPECOに構造化します。Patients胸部大動脈疾患に対する人工血管置換術後の患者Exposure多数のリスク因子ありControlリスク因子なしOutcome縦隔炎の発生および縦隔炎による死亡

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