26症例報告を論文形式にまとめたものが症例報告論文です。症例報告論文の特徴として,原著論文に比べて取り組みやすいことが挙げられます。原著論文には数百例,少なくとも数十例の症例が必要であるのに対し,症例報告論文は1例からでも成立します。にもかかわらず,症例報告の多くが学会発表のみにとどまり論文化されません。研修医などの若い先生がプレゼンテーションの経験を積むために症例報告をするならば,学会発表のみでもよいでしょう。しかし,研修医レベルを卒業したら,学問的価値のある症例をみつけて論文として発表することをお勧めします(表2–1)。症例報告論文は,臨床家が遭遇した困難な症例の経験や,将来の臨床研究につながりうる新規性のある診療の試みなどを紹介するための表2–1 症例報告の学会発表と論文発表の違い●症例報告の学会発表 ・プレゼンテーションの経験を積める ・学会に参加することで研究者同士での交流につながる ・発表時間が限られており,ある程度は詳細を省略できる ・後世には残らない など●症例報告の論文発表 ・論文として出版されることで,より広範囲に普及される ・将来,臨床研究を行い原著論文を執筆する準備となる ・内容には,学会発表よりも高いレベルでの新規性が求められる など1)患者に始まり患者に終わる症例報告を論文発表しよう1学会発表で終わらせず論文発表する意義1
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