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27貴重な媒体となります。稀な疾患・病態の症例報告が契機となって,疾患の病因や治療法が新たに発見されることもあります。1つの症例報告が多くの患者の診療に還元される可能性を秘めています。まさに「患者に始まり患者に終わる」といえます。学会発表の内容は後世には残りません。症例報告論文として出版されれば,学会誌に掲載されたり,PubMedや医中誌で検索可能になったり,時間的にも空間的にも広範囲にその情報を伝えることが可能になります。7~10分程度の口演の場合,説明を端折るなど,ある程度のごまかしも可能です。しかし論文の場合はごまかしがききません。なぜなら,原著論文と同様,症例報告論文もピアレビュー(peer review)が行われるからです。論文は読者が何度も読み返すことができ,他の情報と照合して内容の妥当性を検証できます。つまり論文に書かれる文章は,批判に耐えられる内容でなければなりません。論文のなかで何か具体的なステートメントを発するには,観察された事実や先行研究の知見などの根拠を必ず示す必要があります。2)論文はごまかしがきかない1 症例報告を論文発表しよう

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