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28症例報告論文を書くことによって,科学的に精緻な文章を書く力を身に付けられます。医学部卒業後の早い時期からこのようなスキルを学会発表だけで終わるのではなく,発表内容を論文にして出版することが大事,とはよくいわれます。しかし実際に,学会発表後に論文発表にまでたどり着くケースはどの程度あるのでしょうか? これに関する実態調査が日本で行われ,その結果をまとめた論文が2018年にBMJ Openに掲載されました1)。著者らは,2010〜2012年の日本プライマリ・ケア連合学会年次学術大会で発表された抄録の論文出版率と,出版に関連する要因を調べました。1,003の抄録のうち,38(3.8%)はその後に査読付きジャーナルに掲載されました。公開までの期間の中央値は15.5カ月でした。ポスター発表に比べて口頭発表の方が,また大学に所属する筆頭演者の発表の方が,論文出版率は高かったそうです。しかし,大学に所属する筆頭演者の発表ですら,論文出版率は11.9%(151抄録中の18抄録)にとどまっていた,とのことです。さて,この数字が日本プライマリ・ケア連合学会以外の学会にも一般化可能性があるかどうか,本研究からだけではわかりません。本結果に対して,「学会発表だけでなく,論文を書くのも頑張らなきゃ」と解釈するかどうかは,各読者にゆだねられているでしょう。コラム文 献1) Komagamine J, Yabuki T. Full-text publication rate of abstracts presented at the Japan Primary Care Association Annual Meetings (2010-2012): a retrospective observational study. BMJ Open. 2018; 8: e021585. PMID: 29934391❖❖学会発表後の論文出版率

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