204複合また多棘徐波複合が出現します。光過敏性を呈すことが多く,閃光賦活試験で突発波が誘発されやすいです。乳児良性ミオクロニーてんかんは生後1〜3歳の幼少児で発症し,持続時間の短い全身性のミオクロニー発作が群発します。小児ミオクロニー失立てんかん(Doose症候群)は生後2〜5歳で発症します。やや男児に多く,一瞬頚部を前屈させる脱力発作と失立発作が発現します。時に強直間代発作,欠神発作を伴います。脳波は2〜3Hzの不規則な全汎性棘徐波複合また多棘徐波複合が出現します。熱性けいれんとの関連が示唆されています。レノックス・ガストー症候群は2〜8歳の小児が発症し,数種類の多彩な発作を有しますが,ミオクロニー発作はその特徴的な発作型のひとつです。若年性ミオクロニーてんかんは12〜18歳の思春期に発症し,覚醒直後,主に上肢に不規則で急速なミオクロニー発作が出現します。寝不足で発作は増強し,多くの症例で光過敏性を呈します。ミオクロニー発作が2次性全般化し,強直間代発作に移行することがあります。たびたび閃光賦活試験で多棘徐波複合が誘発されます。また,睡眠から覚醒に移行する時に多棘徐波複合が誘発されやすい傾向があります。 ◆ミオクロニーてんかんと体性感覚誘発電位(SEP)ミオクロニーてんかん患者の体性感覚誘発電位(somatosensory evoked potentials;SEP)では高率に巨大SEP(giant SEP)が観察されます。巨大SEPは大脳皮質の易興奮性の指標として利用されます。巨大SEPは大脳皮質の易興奮性の指標として利用され,クロイツフェルト・ヤコブ病などでも出現します。なお,巨大SEPの発現はセロトニン系とまたはノルアドレナリン(NA)系などの下行性抑制系の脱抑制が関与すると考えられています。12)外傷性てんかん外傷性てんかんはてんかんの既往歴がない人が頭部外傷によりてんかん発作が生じ,両者に因果関係が示唆される外傷性脳損傷の後遺症のひとつです。外傷性てんかんは頭部外傷の1週間以内に起こる早期外傷性てんかん(early epilepsy)と,1週間以後に起こる晩期外傷性てんかん(late epilepsy)とに大別され,後者が狭義の外傷性てんかんにあたります。また,前者を呈す症例は幼小児に多いことが知られています。外傷性てんかんでみられる主な突発性異常波は局在性で散発性の棘波,鋭波,不規則棘徐波複合です。外傷性てんかんは頭部外傷後 1年以内に50%,2年以内に75%の患者が発症します。一般に予後良好ですが,難治症例も存在します。13)熱性けいれん熱性けいれんは生後半年〜3歳頃までの乳幼児の発熱に伴って起こる全身性のひきつけ(けいれん)で,明らかな病因がないものです。女児よりも男児に,また,両親に熱性けいれんの既往があると熱性けいれんを発症しやすい傾向があります。多くの場合,熱性けいれんは3分以内に終了します。通常,熱性けいれんは1度きりで終わりますが,けいれんを繰り返す症例もあります。てんかんを否定するために熱性けいれんから1週間以降に脳波検査を実施します。多くの症例で年齢相応の正常脳波パターンを示しますが,稀に焦点性の棘波または徐波,全汎性の棘徐波複合を呈す症例が存在しますが,それでてんかんと診断されることはありません。ちなみに,熱性けいれん重積直後に全汎性徐波が一過性に連続する場合がありますが,すぐに消失します。この所見は重要で,脳炎との鑑別に役立ちます。一般に熱性けいれんは予後良好です。第5章 疾病・病態と問題脳波
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