③ 照射業務におけるスループットの向上前立腺癌の放射線治療において,治療時と治療計画時の蓄尿量が治療計画時と異なっていると,一度患者に治療寝台から降りてもらい,一定の時間後にCBCTを撮影する場合がある。ケースによってはこの作業を何度も繰り返すことになる。このような場合,CBCTを撮影する度に患者の被ばくは増加し,さらには照射業務におけるスループットも低下する。BladderScanは放射線治療室外の別室(放射線治療室外)で蓄尿量の測定を実施できるため,蓄尿量をCBCT撮影前に把握することができる。これにより,蓄尿量の過不足によるCBCTの再撮影回数を低減することが可能となり,照射業務のスループットが向上する。▲ BladderScan利用施設の患者の流れ④ 治療計画CT時の蓄尿量の目安筑波大学附属病院では,治療計画CT時の蓄尿量の目安を150~200 ml程度に設定している。もちろんこの蓄尿量は目安であり絶対ではない。治療計画CT時の蓄尿量の決定には,次の2点が重要になる。a.リスク臓器(膀胱や腸管)への照射体積を減らすことが可能な量であることb.毎回の放射線治療時に,患者が安定して蓄えられる量であることaに関しては,治療計画CT撮影後,治療計画者がすぐに矢状断面像にて画像を確認し,その場で適切な蓄尿量であるかを判断する。しかし,日々の放射線治療で重要なのはbである。放射線治療が開始されると,膀胱炎などの症状により蓄尿が困難になる場合がある。たとえば,治療計画CT時に蓄尿量が300 mlであったとしても,放射線治療時(特に後半)には200 mlの蓄尿ですら困難な場合がある。蓄尿量が治療計画CT時と大きく異なる場合は,再度治療計画が必要になる。そのため,放射線治療の開始から終了までの期間,患者がその蓄尿を安定して再現できる量に設定することが必要になる。筑波大学附属病院では,これまでの経験から,150~200 ml程度の蓄尿が適当であると考えて運用している。骨膀 胱ビーム前立腺ビームが骨を通過するものとして線量計算しているb:治療計画時の前立腺位置別 室(放射線治療室外)Bladder Scan前立腺の位置をIGRTで合わせてもビームが通過する構造物が治療計画時と異なるc:治療時の前立腺位置放射線治療室入 室位置合わせ治 療238直 腸a:横断像のイメージ図来院前蓄 尿放射線治療室外で蓄尿量を把握できるため,スループットが向上する▲ IGRTによる前立腺の位置合わせ
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