● 放射線を全身被ばくすると死に至る線量のことを「致死線量(lethal dose:LD)」という。100%が死に至る場合は全致死線量(LD100),50%が死に至る場合は半致死線量(LD50)と表す。また,斜線の右側に被ばくしてからの観察期間を「LD100/60」と表記する場合もある。 ● 観察期間について,マウスなどの動物実験では通常30日を用いるが,ヒトの場合は骨髄死の期間が異 ● 全身に7 Gy程度の放射線が当たると,60日以内に100%のヒトが死に至る(LD100/60:7 Gy)。また, ● 放射線量を熱量に換算したものを式に示す。 ● 吸収線量(Gy)とは,1 kgあたりに何Jの熱量を与えたかを表すので,7 Gyは7 J/kgになる。そして7 Gyを熱量に換算すると,約1.7 calになる(①)。 ● 水1 kgの温度を1℃上昇させるには1000 cal必要なので,計算すると7 Gyは水1 kg当たりを約0.0017℃上昇させるエネルギーしかない(②)。 ● 放射線を熱エネルギーなどに換算しても,実は大した量ではない。つまり,放射線は熱エネルギーで細胞を殺傷しているわけではない。 1 基礎のキソ 1 放射線が人体に当たった場合▲ ヒトの致死線量60日で100%が死亡(LD100/60:7 Gy程度)24全身に4 Gy程度60日で50%が死亡(LD50/60:4 Gy程度)なるため60日を使うことが多い。全身に4 Gy程度の放射線が当たると,60日以内に50%のヒトが死に至る(LD50/60:4 Gy)。▲ 放射線量を熱量に換算7 Gy=7 J/kg1 cal=4.2 J 1 cal ---------- 4.2 J X cal ---------- 7 J → 4.2 X=1×7 → X=7/4.2 ≒1.7(1.66666-----)cal ①水1 kgの温度を1℃上昇させるには1000 cal必要 1000 cal ---------- 1℃ 1.7 cal ---------- Y℃ → Y=1.7×10−3℃ (0.0017℃) ②吉村洋祐・森祐太郎・磯辺智範全身に7 Gy程度第 2 章知っておきたい基礎知識(生物編)
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