1234A6推奨の強さ「行う・行わない」のいずれの推奨も困難なものについては「推奨なし」と記載推奨文行うことを強く推奨する行うことを弱く推奨する行わないことを弱く推奨する行わないことを強く推奨する前版の推奨グレードB, C1C2D表1 推奨の強さ今回の改定を行うにあたり,新たな委員会委員が任命され,2018年4月に作業を開始した。第1回ガイドライン委員会(2018年4月)で日本医療機能評価機構によるEBM普及推進事業(Minds)が推奨するGRADE3)システムに準拠して作成することが決定された。その後2019年5月までに100名ほどの委員がMindsの主催する診療ガイドライン作成オンデマンドセミナーに参加し,GRADEシステムによるCQ(clinical question)作成の手順を学んだ。第4回ガイドライン委員会(2019年6月)では前版のCQ171項目を整理照合し,CQ/BQ(background question)/FQ(future research question)に振り分けし,必要に応じてそれぞれの項目の取捨選択あるいは新たなCQ/BQ/FQを作成する作業(総論2.画像診断ガイドライン作成法を参照)を各小委員会で行うことが決定した。第5回ガイドライン委員会(2019年10月)までに最終的なCQ/BQ/FQを各領域で決定した。各小委員会でBQ/FQの担当委員は2019年6月までの論文を引用文献に加えて執筆を開始した。ただし,2019年6月以降の論文でも,推奨度に関わる重要な知見の得られた文献があれば各委員の裁量で適宜追加を行った。尚,前版ではそれぞれの引用文献にOxford EBM Centreが提唱する“エビデンスレベル”を記載していたが,本版ではGRADE3)システムでCQのエビデンス総体における“エビデンスの強さ”(次章6.参照)を使用するため,両者の使用による混乱を避けるため,文献のエビデンスレベルの記載は行わないこととした。CQに関する文献検索は,日本医学図書館協会にご協力をいただきPubMedデータベースを用いて行った。遡及検索期間は2016年1月1日~2019年6月30日である。検索が不十分な場合には検索式の見直しを行い各小委員会で再検索した。各小委員会で選定されたCQのSR(systematic review)担当委員はコクランジャパンの主催する放射線学会向けSRワークショップ(2020年2月)に参加し,具体的なSR作業の理解に努めた。実質的なSR作業の開始は日本医学図書館協会による文献収集が終了した2020年8月以降となった。2021年1月から3月までの間に小委員会で推奨度決定会議を行い(コロナ禍のため全てWEB開催),各CQにおける推奨度の決定を行った。この決定に基づき,担当委員がCQ解説文の執筆を行った。6 GRADEに基づく推奨の強さ,エビデンスの強さ,合意率本版における推奨の強さは,前版までの科学的根拠だけでなく,日常臨床で介入することによって起こる益と害のバランスおよび患者の希望の一貫性,経済的視点等を踏まえて,行うことをどの程度推奨するのかを決定した。「推奨の強さ」は「Minds診療ガイドライン作成マニュアル2017」 2)を遵守し,「乳癌診療ガイドライン2018年版」 4)を参考にして4段階に分けた(表1)。前版までの推奨グレードA,B,C1,C2,Dとの大まかな対応も示す。「エビデンスの強さ」は推奨文の中に「強」,「中」,「弱」,「とても弱い」の4段階で表示した(表2)。CQごとに設定したアウトカムすべてにおいて,全体的なエビデンスが強いほど推奨は“強く”なる。逆に全体的なエビデンスが弱いほど,推奨は“弱く”なる。エビデンスの強さの決定の基本原則は,その効果推定値に対する確信が,その推奨を支持するうえでどの程度十分かを表している。推奨決定会議の合意率(%)を記載している理由は,例えば同じ「弱く推奨する」でも,合意率100%と73%では意味合いが違うためである。少数ではあるが強く推奨に傾いているのか,弱く推奨しないほうに傾いて
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