SK=NK・kelec・Rdg 125Iのような低エネルギー光子放出核種では,気圧(高度)に対する追加補正も必要とする場合がある。特に,101.33 kPaより大幅に気圧が低い高地にある施設で問題となり,出力信号が過剰応答になる傾向がある。これは,低エネルギーの光子により生じる2次電子の飛程がウェル形電離箱線量計の有感領域の距離と同等程度の場合,有感領域内で停止する2次電子の割合が大きくなり,この2次電子に対しては標準的な大気補正としての〔式2〕が適切に適応されるために鉛ガラス製の遮蔽版やピンセットなどを用意する必要がある。 線源強度の計測で利用されるウェル形電離箱線量計には,常圧空気電離箱式と加圧ガス封入電離箱式の2種類がある。以下に,ウェル形電離箱線量計による具体的な線源強度の計測方法を示す。a.常圧空気電離箱式 大気中の空気を検出器の気体に利用しているので,一般的に通気構造が設けられている。国内で利用されている代表的なものとしては,図3で示すStandard Imaging社製のHDR 1000 Plusがある。線源強度の計測に関して,施設で適切な計測時間を判断することを推奨する。例えば,30 s以上の電荷の積算時間に対して,0.1%の繰り返し精度を保持して計測できることが報告されている4)。30 sの積算電荷を計測する場合,空気カーマ強度SK(U: cGy・cm2・h−1)は以下の式で算出できる。 ここで,NKは空気カーマ校正定数(μGy・m2・h−1・A−1),kelecは電位計校正定数,Rdgは計測した電位計の読み値(pC)である。kTPは大気補正係数であり,検出器の気体が外気と通気性を有しているため,気候状況に応じて大気補正が必要とされる。気温22℃(米国では22℃だが,欧州では20℃),気圧101.33 kPaを基準条件とし,気温T(℃),気圧P(kPa)で計測されているとき,kTPは以下の式で与えられる。kTP=273.2+T●図1 ホルダの角度依存性に対する工夫丸で囲んでいる箇所のように標印を付ける。295.2・101.33P 30・kTP 230●図2 線源強度の計測の様子〔式1〕〔式2〕
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