②金属製 金属製は刺入が容易で,刺入の際にエコーでリアルタイムに視認しやすいという利点はあるが,先端が鋭利なため血管を損傷するリスクに注意する。また,プラスチック製に比べ,先端から第一停留点までの距離(オフセット)が長い場合があり,穿刺の深さに注意が必要である。組織内照射針の刺入手順 組織内照射針は通常の腔内照射の線量分布で線量が不足する腫瘍部分を狙い刺入する。刺入に際しては,小線源治療前のMRI画像や子宮内腔へゾンデ挿入下の超音波を用いて,あらかじめ刺入のイメージをもつことが重要である。また,当日の内診所見や,後述する刺入を補助するモダリティを適宜使用し,細心の注意を払い刺入を行う。以下に刺入経路別の刺入方法を概説する。①経腟的アプローチ ・ まず通常の腔内照射アプリケータ挿入を先行し,それに引き続き組織内照射針を刺入する。オボイド挿入前に刺入を行えば刺入部位と方向の自由度が高いが,刺入後にオボイドを挿入できるよう十分側方から刺入する必要がある。オボイド挿入後の刺入は容易に行える反面,オボイドの干渉のため針の刺入できる範囲に制限が大きいというデメリットがある。 ・組織内照射針はフリーハンドで刺入する方法とIC/IS用アプリケータをテンプレートにして刺入する場合がある。フリーハンドの針刺入は刺入部位と方向の自由度が高く,適応範囲が広い反面,再現性を担保しづらい。テンプレートを用いる場合は,刺入部位と方向がテンプレートに従い制限されるが,再現性がよいという利点がある。②経会陰的アプローチ ・経会陰的に刺入を行う場合は,腔内照射アプリケータを先に入れてしまうとオボイドと組織内照射針が干渉することがあるため,組織内照射針の刺入を先行してから腔内照射アプリケータを挿入するとスムーズな手技ができる場合が多い。ただし,タンデムを先に挿入しておくと組織内照射針の刺入部位の指標になる場合もある。 ・経会陰アプローチでは組織内照射針の角度の自由度が高い分,思わぬ方向に針先が向いてしまう危険も伴うことから,経直腸超音波でリアルタイムに針先を確認しながらの刺入を推奨する。経直腸超音波を用いない場合は,針の角度があらかじめ固定されているテンプレートを用いるほうが安全である。 ・腟壁損傷を避けるため,腟内に組織内照射針を露出させないように注意する。針先の位置を超音波で確認できない場合は腟内に指を入れ,指の腹で腟粘膜下の針を触知しながら刺入を進める。ほかの針は先に挿入した腟粘膜下の針を指標にして刺入する。 ・前立腺の組織内照射と同様,恥骨干渉が問題となるため,拡大砕石位を取り恥骨干渉を避ける措置を講じると刺入しやすくなる。また,尿道の両側は経直腸エコーで良好な画像が得やすく,尿道や膀胱以外に危険な構造が少ないので比較的安全な経路といえる。プラスチック製金属製・MRIが撮像可能・CTでアーチファクトが少ない・針に強度があり刺入が容易・刺入に際して超音波ガイド下で視認が容易・滅菌消毒にて再利用が可能A.子宮頸癌腔内照射(2D, 3D)組織内照射併用腔内照射(3D)・金属製に比し刺入に際して抵抗がある・材料費が請求できない・MRIの撮像不可・CTでアーチファクトが大きい9595●表2 アプリケータ材質による特性の違い長所短所
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