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不均一となりやすく,注意が必要である。 食道狭窄が高度で症状緩和が目的の場合には細径のアプリケータを用いる。この場合には経鼻的な挿入が可能となる。ただし,粘膜面の過線量を避けるためには10 mm以上の外径が望ましい。ブジー型アプリケータを用いるほか,治療前にブジー拡張を慎重に行う方法がある。 1本線源が一般的である。CTVは内視鏡でクリッピングされた腫瘍進展範囲に頭尾側1〜2 cm程度のマージンを付加し,PTVはCTVと同じでよい。アプリケータ固定後,治療用チューブに模擬線源を挿入する。X線写真2方向を撮影し(図1),根治照射ではCT画像を取得し,治療計画装置を用いて線量計算を行う。最適化は適宜行い,表在癌であれば線量分布で処方線量が線源にほぼ平行となるように調整する(図2)。線源と粘膜面の距離を照射野全長にわたり把握し,CT画像があれば線源と腫瘍深部の距離も測定する。太いアプリケータでは粘膜下5 mm,細径の場合は線源から10 mmに処方することが多い。1本線源では線量勾配が強いため,アプリケータの種類にかかわらず,アプリケータ表面ないし食道粘膜面,表面から5 mm(粘膜下5 mm),線源から10 mmの線量を報告するように欧州放射線腫瘍学会(ESTRO)が推奨している。目的に合わせ線量処方,線量分割を検討する。a.線量分割 表在癌に対する根治的治療は通常,外部照射50 Gy/25回程度の1〜2週後にブーストとして行う。バルーンアプリケータを用いて粘膜下5 mmで処方する場合,1回線量が4 Gyを超えると食道合併症の発生率が高くなるため,1回2.5〜3 Gyで2, 3回ブーストする4)。従来の報告をまとめた解析報告がある11)。外部照射と合計した粘膜面の生物学的実効線量(BED)が134 Gy3を超えると重症毒性が明らかに増え3),120 Gy3ないし2 Gy換算では72 Gy3程度は安全と考えられる。これは粘膜面評価として12 Gy/2回や15 Gy/3回に相当する11)。 化学放射線療法(外部照射)後に狭窄が残存する進行癌に対する根治治療として腔内照射ブーストを行う場合にも表在癌と同様の線量分割が安全と考えられる。50.4 Gyの外部照射後1年以降に局所再発した表在癌に対しては粘膜処方として20 Gy/4〜5回の報告がある9, 11)。 緩和照射の場合には腔内照射単独で,1回線量を高くし,1, 2回で終了する利点がある。線X線透過下で病変の上下に存在するクリップがカバーされる位置でバルーンを固定する(黄矢印はクリップの位置を示す。本症例ではクリップは病変の1 cm上下に付着されているのでこの範囲が治療標的である)。これに8 mm頭尾側まで線源を配置している。2172172●図1 バルーンのpositioningとX線画像を用いた治療計画の1例治療計画

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