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24S850 MG10血流量の相対変化生存率G2 解説 正常細胞とがん細胞の温熱感受性は,増殖の盛んな状態では両者に有意な差はない。一方,増殖を停止したG1期およびG0期の正常細胞は温熱抵抗性で,無限増殖能によってDNA合成期(S期)を有する細胞は温熱高感受性である1)。正常組織は,加温しても血流量の増加によって熱を拡散するので,温まりにくい。一方,腫瘍組織は,がん細胞の増殖に血管新生が追いつかず,加温しても血流量の増加が認められず,むしろハイパーサーミア治療域温度(43℃)で低下するため,熱がこもり,周辺の正常組織よりも温度が高くなる2)。また,放射線に抵抗性を示す腫瘍組織に特徴的な低酸素の細胞3),嫌気性代謝による低pHの細胞4, 5),栄養欠乏状態の低栄養の細胞は6),温熱高感受性である。さらに,がん幹様細胞(スフェロイド)は,非がん幹様細胞(単層細胞)と比べて放射線抵抗性を示すが,温熱感受性に違いはみられない7)。この結果は,再発・転移の原因として知られているがん幹細胞に対して,ハイパーサーミアのアドバンテージを示す結果として注目されている8)。図1  チャイニーズハムスター細胞における細胞周期と熱感受性[文献1を一部引用改変]図2  ラットの皮膚,筋肉および移植腫瘍についての温度と血流量変化 [文献2を一部引用改変]1040皮膚筋肉腫瘍4448温度(℃)10−110−210−3分裂細胞培養後の時間(時間)X線 6Gy45.5℃,15分加温12生物学的視点ハイパーサーミアは,単独で殺細胞効果があるとともに,集学的治療での利点がある。総 論

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