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6直腸癌に対してハイパーサーミアは推奨されるか?■推奨文30局所進行・再発直腸癌に対する放射線単独療法において,局所効果の改善を期待してハイパーサーミアの併用を提案する。  [エビデンスの強さ:A(強),弱く推奨]局所進行直腸癌に対する術前化学放射線療法において,局所効果の改善が期待できハイパーサーミアの併用を考慮することを提案する。 [エビデンスの強さ:C(弱),弱く推奨] 解説 大腸癌治療における放射線治療の役割として,直腸癌の術前の腫瘍量減量や肛門温存を目的とした補助治療,または切除不能進行再発癌の症状緩和や延命を目的とした緩和的放射線療法が挙げられる1)。直腸癌に対して側方郭清が行われない欧米で行われた臨床試験では,術前化学放射線療法による局所再発率の低下が示され,欧米では標準的に行われている2)。本邦では,標準的に直腸間膜全切除(total mesorectal excision:TME)と側方郭清が行われ,良好な成績が報告されており術前化学放射線療法は積極的には行われていないのが現状である。また,切除不能な局所進行・局所再発直腸癌に対しても,腫瘍縮小によりR0切除可能になると判断される症例に対しては化学放射線療法の施行が推奨されている1)。1980〜1990年代に直腸癌に対する放射線療法において,ハイパーサーミアの併用を検討するランダム化比較試験が数多く施行されている(表1)3-7)。局所進行期の術前放射線療法,あるいは再発例に対する放射線療法との併用が試みられている。6個のランダム化比較試験を対象としたメタアナリシスでは,完全奏効(CR)率は放射線療法単独群の8%と比較して,ハイパーサーミア併用群では20%と有意に改善している3)。ハイパーサーミアの併用により,放射線照射による急性期および晩期障害の有意な増加を示したランダム化比較試験はなかった。ハイパーサーミアによる有害事象は,加温直後の疲労感と低温熱傷による皮下脂肪の硬結・疼痛を生じ得るが,多くは一過性で軽微である。2年全生存率は,ハイパーサーミア併用により有意な改善が確認されたが,3年および4年全生存率では有意差が消失した。しかしながら,同メタアナリシスの対象となったRCTであるZeeらの報告では,総144例中再発例が119例,遠隔転移を伴う症例が27例含まれており,全生存率の評価には不向きな多様な症例群であった4)。Berdovらの施行したT4N0M0例のみを対象としたランダム化比較試験では,術前放射線療法にハイパーサーミア併用することでCR率および全生存率のいずれも有意な改善が示されている8)。近年,局所進行直腸癌に対する術前化学放射線療法とハイパーサーミアの併用治療の報告が増加している(表2)9-13)。ハイパーサーミア併用の有無を評価したランダム化比較試験までは報告されていないが,第Ⅱ相試験の報告が複数ある。BarsukovらはT4症例のみを対象とした第Ⅱ相試験でCQ

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