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失−31CQ6表1  直腸癌に対する放射線療法とハイパーサーミアの併用治療の報告病期治療内容治療群腫瘍完全消全生存 明日への提言 術前化学放射線療法とハイパーサーミアの併用のさらなる治療成績の蓄積が必要で,温度パラメータ指標や良好な温度上昇が達成可能な患者因子の確立が期待される。また,切除不能な進行再発大腸癌に対する化学療法とハイパーサーミアの併用治療に関する報告は小規模な後ろ向き報告に限られ,今後の臨床試験の報告が待たれる16-17)。De Haas-Kock2009 3)メタ解析(6個のRCTを対象)RCTBerdov1990 8)van der Zee2000 4)RCTYou1993 5)RCTCR:腫瘍完全消失,OS:全生存,RCT:ランダム化比較試験,RT:放射線療法,HT:ハイパーサーミア,RHT:放射線治療+ハイパーサーミア,n.s.:有意差なしR0切除率92%,pCR率11%と有望な成績を報告している10)。過去の標準的な術前化学放射線療法のR0切除率が60%程度であり,ハイパーサーミア併用による局所効果の改善が推測される14)。RasulovらのT2-3症例を対象とした第II相試験では括約筋温存手術率は96%と有望な成績が示されている9)。RauらはT3〜4症例を対象とした第Ⅱ相試験では括約筋温存手術率は51%であったものの,温熱パラメータと腫瘍縮小効果や切除率との有意な相関を報告し,良好な腫瘍温度上昇による成績の改善を示唆している11, 15)。表1および表2に示した治療成績のうちYouらとRasulovらの報告は,現在普及している外部加温法ではなく,腔内加温法により実施されている。腔内加温法は,腫瘍径の大きなT4症例には実施が難しく適応が限られ,現在では本邦で実施施設がないのが現状である。以上のように放射線単独療法に比べハイパーサーミアを併用することで,局所効果の改善が得られることが,ランダム化比較試験に基づくエビデンスで示されている。また,化学放射線療法とハイパーサーミアの併用に関しては,ランダム化比較試験による検討はないものの有望な成績が報告されている。しかしながら,良好な温度上昇が達成できない症例では局所効果の改善が得られない可能性がある。よって加温の精度管理が十分に行われている施設での実施が望まれる。研究法症例数著者(年)552例局所進行および再発115例T4N0M0術前治療143例局所進行および再発82例局所進行術前治療RT±HTRHT群RT群RHT群RT群RT(40Gy/10分割)±HT(外部加温,4〜5回)RT(46〜50Gy, 1.8〜2.3Gy)±HT(外部加温,5回)RT(30Gy/8分割 or 40Gy/20分割)±HT(腔内加温,6〜8回)RHT群RT群RHT群RT群20%8%(p=0.0001)82%(2年)67%(2年)(p<0.05)16%2%(p<0.05)36%(5年)7%(5年)(p<0.05)21%15%(n.s.)13%(3年)22%(3年)(n.s.)23%5%(p<0.05)CQ6 直腸癌に対してハイパーサーミアは推奨されるか?

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