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水水4. J-couplingによる脂肪信号低下の抑制5. Magnetization transfer(MT)効果Bulk waterMTパルス脂肪1,500Hz106Part 1 MR【MT効果による脂肪信号の上昇】ETL:7SE法ETL:15高速SE法脂肪 ● J-c ● 高速SE法では,20 ms以下の短いESPで180°パルスが印加される。一般に,1/Jより短い間隔でRFを印加するとJ-couplingが成立しないとされ,逆位相における信号低下が阻害されるため,高速SE法では脂肪が高信号で描出される。 ● 上の画像では,高速SE法の画像の方が皮下脂肪や板間層の脂肪信号が高い。カップリングoupling(J結合)は,1分子内の原子核同士で相互のスピンに磁気的影響を与え合う現象である。この現象により各原子核のスペクトルは分裂し,その幅をJ-coupling定数J(単位はHz)と呼ぶ。一般に,脂肪のJは5~20 Hzとされ,その逆数である50~200 msの間で同位相となり脂肪は高信号となる。その半分の時間である25~100 msの間では逆位相となるため,SE法におけるTEをこの値に設定すると脂肪の信号が低下して描出される。 ● 高速SEにおいて,短時間で繰り返される180°パルスはMT効果をもたらす。 ● MT効果によって,蛋白質などの高分子に結合した水分子(bulk water)は信号低下を生じさせる。 ● MT効果を生じるには,共鳴周波数から1~2 kHzずれたRFパルスを印加する必要がある。 ● マルチスライス設定時には,他スライスでの180°パルスがMTパルスを印加したのと同様の効果を生じさせる。 ● MT効果のない脂肪は信号低下を生じず,相対的に脂肪信号が上昇したように観察される。 ● 画像では,ETLが大きい方がより多くのMT効果の影響を受ける。皮下脂肪の信号強度を比べると,ETL 15の画像の方が高い。

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