AEBFCGDHADBECF図2参考症例①A〜F:MRI(A,D:FLAIR,B,E:拡散強調像,C,F:ADC map)10歳台,女性。主訴:意識障害,痙攣。1型糖原病,来院時血糖 20 mg/dL。FLAIRで両側後頭葉皮質〜皮質下白質に腫脹と高信号域を認める(A)。拡散強調像で同部は明瞭な高信号を示し(B),ADC mapでADC低下を伴い拡散制限が示唆される(C)。FLAIR,拡散強調像,ADC mapで,両側前頭頭頂葉に対称性に同様の異常信号域を認める(D〜F)。13035.indd 13035.indd 130図5参考症例③A〜F:MRI(A:T2強調像,B:T1強調像,C:T2 *強調像,D〜F:造影T1強調像),G,H:DSA(椎骨動脈造影像)20歳台,女性。主訴:頭痛。現病歴:受診した際に撮像されたMRIで右小脳病変を指摘された。右小脳半球に内部血性を疑う嚢胞構造を伴って,辺縁にT2短縮を示す腫瘤性病変があり(A〜C),浮腫は伴わない。増大傾向にあり,摘出術が施行され,海綿状奇形であった。病変の近傍には,複数の髄質静脈が集合するflowvoidがあり,造影T1強調像や血管造影では髄質静脈が拡張した1本の静脈に集合する特徴的な形態(caputmedu-saeやumbrella signなどと呼ばれる)が認められ(D〜H),静脈性奇形と思われる。1998Springer-Verlag,2006参考画像・動画▶2023/02/20 14:022023/02/20 14:02低血糖性脳症(hypoglycemic encephalopathy)▶低血糖性脳症は低血糖(血糖50 mg/dL以下)に起因する脳症で,意識状態の変化,痙攣,昏睡などの神経症状を来す。4.2%の症例では片麻痺をきたし,臨床的に急性期梗塞と紛らわしいことがある。死亡率は2〜4%とされる。 ▶脳細胞はブドウ糖を主たるエネルギー源とする。そのため,血糖値が細胞代謝に必要な水準を下回ると,Na-Kポンプ不全や興奮性神経伝達物質の増加により細胞性浮腫をきたし,最終的には細胞死に至る。低血糖性脳症はインスリン,スルホニル尿素薬などの糖尿病治療薬により生じる場合が最多であるが,膵/膵外インスリノーマにより生じる場合もある。 ▶低血糖性脳症では発症後1日以内に,大脳皮質(特に頭頂後頭葉と島),海馬,基底核など灰白質に両側対称性の異常信号を認める。大脳皮質の病変は動脈領域とは一致しない。内包後脚,放線冠,脳梁膨大部,皮質下白質など白質にも病変を認め得る。視床,小脳,脳幹は通常スペアされる。病変分布についての報告では,皮質と白質の両方に病変を認める場合が47%,皮質のみが24%,白質のみが29%であったとされる。片側性の病変も6%にみられる。病変はT1強調像で低信号,T2強調像,FLAIRで高信号,拡散強調像で高信号,ADC低値を示す。増強効果は認めない。 ▶低血糖性脳症の画像所見の参考として,皮質〜皮質下白質に異常信号を示した症例(参考症例①,図2)と,白質のみに異常信号を示した症例を示す(参考症例②,図3)。 ▶低血糖性脳症の神経学的予後は低血糖の程度や持続時間と関連し,画像的2)LasjauniasPetal:SurgicalNeuroangiographyVol.3,pp227-289,3)DuckwillerG:IntNeuroradiol9,41-46,20034)WeonYCetal:ActaNeurochir147,17-31,20055)LvXetal:WorldNeurosurg73,385-390,20106)宮田元:画像診断39(10),1108-1121,20197)高橋昭喜編著:脳MRI,pp151〜155,Gakken,20058)栗原紀子:画像診断36(2),157-169,20161342023/02/24 10:552023/02/24 10:5507.indd 13407.indd 134参/考/文/献/1)ValavanisA,Ya?argilMG:AdvTechStandNeurosurg24,131-214,項目によっては理解に役立つ画像や3Dデータを参考動画として提示していますWebページ例本文ページ例携帯端末で二次元バーコードを読み込むか読者サポートページからアクセスしてください。※Web動画例STEP-1動画を見るSTEP-2本書を読む動画の後は本文を読んで疾患の基礎知識や診断のポイントを確認動画から診断名を予想!!まずはWeb動画を閲覧して,症例情報やアノテーションなしの画像,複数スライスの画像から診断名を予想してみましょう!本書の使い方
元のページ ../index.html#3