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参/考/文/献/1)日本先天代謝異常学会編:副腎白質ジストロフィー(ALD)診療ガイドライン▶X連鎖性副腎白質ジストロフィーは副腎と脳に飽和極長鎖脂肪酸が蓄積し,広範な中枢神経系の脱髄および副腎機能不全を来す疾患で,伴性潜性(劣性)遺伝の形式をとる。国内の罹患率は男児の3〜5万人に1人の頻度と推定される。病因はX染色体(Xq28)に存在するABCD1遺伝子で,極長鎖脂肪酸をペルオキシゾーム内へ輸送する膜蛋白をコードしているが,その遺伝子変異は多彩で,さまざまな病型がある。組織における飽和極長鎖脂肪酸の増加は,ペルオキシゾーム内における飽和極長鎖脂肪酸β酸化による分解の活性低下によるが,これはABCD1遺伝子異常によると考えられている。診断は血清スフィンゴミエリン,血清総脂質や赤血球膜スフィンゴミエリンの極長鎖脂肪酸増加によりなされる。 ▶臨床病型には,3〜10歳に視力・聴力障害,学業成績低下,痙性歩行などで発症,急速に進行し,大脳半球に広範な脱髄を来す小児大脳型が29.9%,思春期以降に痙性歩行で発症する副腎脊髄ニューロパチー(adrenomyeloneuropa-thy:AMN)が25.3%,成人で性格変化,知能低下,精神症状で発症し急速に進行する成人大脳型が21.4%で,次いで11〜21歳で発症し,進行がやや緩徐な思春期大脳型 9.1%,脊髄小脳失調症にも似た症状を呈する小脳脳幹型 8.4%がある。 ▶小児大脳型,思春期大脳型,成人大脳型では,大脳白質の脱髄部位に一致してCTで低吸収域,T2強調像では高信号域を認める。病変は対称性で,後頭葉白質,頭頂葉白質の側脳室周辺部や脳梁膨大部が多いが,前頭葉白質,脳梁膝部から脱髄が始まる例もある(〜10%)。典型的には病変は3つの層からなり,中心には壊死およびアストログリオーシスを認める壊死層,その周囲の造影される活動性の脱髄がある中間の炎症層,その辺縁には脱髄が認められるが炎症細胞浸潤を伴わない脱髄層に分かれ,病変の進行により中心の壊死層が拡大し,炎症層,脱髄層が同心円状に広がっていく(参考動画)。病勢が進むと大脳白質全体に病変は広がるが,皮質下白質は最後まで保たれる。CTでは病変の中心部に細かい石灰化を認めることがある。 ▶AMNは20歳台後半の発症が最も多く,痙性対麻痺で発症し,緩徐に進行する。軽度の感覚障害を伴うことが多く,膀胱直腸障害を認めることもある.経過10年で約半数が大脳型に移行する。画像では胸髄の萎縮を来すが,頸髄の萎縮を認めることもある。線維路,特に両側皮質脊髄路に沿った病変は特徴的とされるが,大脳白質病変を認める場合は後頭頭頂葉白質の広範な病変を伴うことが多い。ALDの女性保因者の20〜50%に何らかの症状を来し,主な症状はAMNに類似した脊髄症状を呈するとされる。参考画像・動画▶2602)KimJHetal:Radiographics25,619-631,20052019,診断と治療社,2019X連鎖性副腎白質ジストロフィー(X-linked adrenoleukodystrophy:X-ALD)1,2)

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