07132T
5/10

B窒息による死亡の判定に死後画像を用いることは有用か?CQ00CQ12CQ 12背 景PMCTAの有用性(CQ32参照)造影剤を用いたPMCTAでは,外傷や医原性の血管損傷 23-29),解離による血管破裂 30),心筋梗塞による心破裂 26),冠動脈や腸管動脈の血栓 25)26)31-35),肺血栓塞栓症 26)36),血管奇形(新生児を含む) 37-39),脳出血やくも膜下出血の責任血管の同定 16)26)40)など死後血管造影CT(PMCTA)は死因推定に有用か?窒息による死亡の判定に死後画像を用いることは有用か?41推奨Grade造影剤を用いた死後血管造影CT(postmortem CT angiography:PMCTA)は,梗塞や出血といった血管性疾患や外傷における血管損傷で有用性が高い。解剖で指摘が難しい異常を指摘できる場合があり,解剖と相補的な役割を果たす。PMCTAの報告の多くは諸外国からであり,日本で広まっているとはいえないが,解剖時に冠動脈を選択的に造影してCTを施行するなどといったことは法医領域において行われている。解説通常の死後CTでは,臓器損傷や血管損傷における出血部位の特定は難しいため,造影剤を用いたPMCTAが報告されている。死後は血液循環が失われるため,臨床とは異なる造影剤の投与方法が必要である。全身を造影する方法として,大腿動静脈や腋窩動静脈にカテーテルを挿入し,体外循環装置 1-3)や,注入圧をモニターできる専用の装置を使用する方法 4)が,主に国外から報告されている 5-7)。動静脈にそれぞれカテーテルを挿入し,動脈からの造影(動脈相),静脈からの造影(静脈相),動脈から造影剤を注入しながらの造影(ダイナミック相)を行う多時相撮影も報告されており,この手法を用いると血管損傷が動脈か静脈かを判定することが可能とされる 4)。日本からは,救急外来におけるPMCTAとして末梢の静脈から造影剤を投与し心肺蘇生術に準じて前胸部圧迫を行う方法が報告されている 8)9)。死産児や新生児においては臍帯や骨髄から造影剤を投与した報告もある 10)。また,局所を造影する方法として,上行大動脈にカテーテルを留置し冠動脈を造影する方法 11),カテーテルを体内に留置し目的血管を造影する方法 12-15),脳や心臓などの臓器を摘出し剖出血管に造影剤を注入する方法 16)17)が報告されている。使用される造影剤として水溶性 1-3),油性 4)18),陰性(ガス) 19),ゼラチンバリウム 20)21),レジンなどがあり,それぞれに長所・短所がある 22)。の多数の症例報告がある。特に術後変化などで解剖では評価が難しい例で血管の状態を明瞭に評価できるとされる 41)。血管の評価以外では,心筋梗塞で梗塞に陥った心筋に造影効果がみられるとされる 17)31)33)が,冠動脈が完全に閉塞した場合,心筋の造影効果がみられないとする報告もある 32)。また,下大静脈からの造影で,造影前の死後CTでは不明瞭だった肝腫瘍がPMCTAで明瞭に描出された例が報告されている 42)。システマティック・レビューでは,死因の正確な診断の感度をPMCTA,死後

元のページ  ../index.html#5

このブックを見る