12PMCTAと解剖42図 60代女性 大動脈解離死後CT(非造影)で心臓周囲および肺動脈周囲に広がる血腫様高吸収像を認め,血性心タンポナーデを認める。造影剤を投与することで,造影剤が心嚢腔に漏出することを確認できる(▲▲)。MPRを観察することで,真腔から心嚢に造影剤が漏出する部分を認める(矢状断像)(⇨)。CT,死後MRIでそれぞれ検討しており,PMCTAでは0.79(95%CI 0.52~0.93)と最も高値であった 43)。入院患者の予期しない死亡においても,体内の医療器具や処置後の状態の診断に有用であり,同時に解剖を実施する際の解剖の質を保たせる現実的な手段と考えられている 25)44)。また,血管径や心腔などの測定にも有用であり,通常の死後CTと比較してPMCTAが容易であるとされる 45)46)。PMCTAと解剖を比較した研究では,血管損傷における損傷部位の検出や血管閉塞で解剖と同程度か解剖以上の診断能とする報告 4)11)47-50)があり,血管に形態的な異常を伴う死因の場合,PMCTAで異常を指摘可能と考えられる。形態的な異常を伴わない心筋細胞融解,心筋壊死などでは診断が難しく,解剖と比較して検出能が劣るとされる 17)26)33)51-53)。PMCTAと解剖は相補的な診断技術であり,対象となる問題や事例の特徴によって有用性が異なることから,死因推定にはPMCTAと解剖を併用することが望ましいと考えられる 11)49)54)。一方,PMCTAを行うことで解剖の対象症例を減らすことが可能とする報告がある 55)。なお,日本では解剖が確定している場合でないときの死CQ非造影造影造影(冠状断)造影(矢状断)
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