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推 奨がん疼痛のある患者に対して,鎮痛補助薬としてステロイドの投与を条件付きで推奨する。 これまでの研究では,ステロイドの単独投与は,プラセボと比較して鎮痛効果は不一致(あり5件,なし4件)だが,オピオイド,神経ブロック,骨セメント,放解 説 本臨床疑問に関する臨床研究としては,ランダム化比較試験が17件ある。研究のうち,主調査項目が痛み(9件),QOLで,系統的評価(LASA,EORTC‒C‒30, ESAS)に痛みを含んだ研究(8件)があった。 多発性骨髄腫(1件),脊椎の転移,骨腫瘍(3件),脊髄圧迫症候群がある進行がん患者を対照とした研究(2件)があった。▋がん疼痛の緩和 プラセボと比較して,鎮痛効果がある(5件),ない(4件),オピオイドの併用が記載されていない(9件)研究があった。オピオイドが投与されている患者に,ステロイドを併用(1件),神経ブロックや骨セメント,放射線治療にステロイドを併用(3件)した研究ではすべて鎮痛効果があった。▋QOL,有害作用 QOLを評価した研究(6件)では,ステロイドの投与により改善された(5件),変わらない(1件)研究があった。 有害作用が評価された研究(9件)では,ステロイドの投与で新たな有害作用がなかった(4件),有害作用の内訳〔口腔症状,精神症状(うつ,不穏,不安,不眠,気分障害),浮腫,筋力低下,食欲不振,痛み,嚥下障害,悪心・嘔吐,目のかすみ〕のみ記載されており,比較できない(5件)研究があった。オピオイドとステロイドの併用と,オピオイドの単独投与の有害作用を比較した研究では,有害作用の差はなかった(1件)。▋バイアスリスク ランダム化の方法の記載なし(10件),割り付けの隠蔽(コンシールメント)の方法の記載なし(9件),参加者と医療者の盲検化なし(5件),アウトカム測定者の盲検化なし(8件),ITT解析非実施(7件),アウトカム不完全報告(脱落率5~20%:9件,20%>:4件),選択的アウトカム報告(5件),早期試験中止(1件),その他のバイアス(製薬会社の資金:1件,単施設研究:9件)を認めた。**1402CⅢ章 推 奨(弱い推奨,弱い根拠に基づく)条 件脊髄圧迫症候群を含む,神経圧迫に伴う痛み,放射線治療による一過性の痛みの悪化,脳転移やがん性髄膜炎による頭蓋内圧亢進症状に伴う頭痛があるとき。CQがん疼痛のある患者に対して,ステロイドの投与は推奨されるか?16

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