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第2章がん免疫療法4免疫チェックポイント阻害薬特有の副作用(免疫関連有害事象)4.免疫チェックポイント阻害薬特有の副作用(免疫関連有害事象)外科系診療科129 図5 がん免疫療法の時代に求められるチーム医療(副作用管理)サイトカイン放出症候群(CRS)多臓器不全など免疫関連有害事象は「いつ」,「どこに」生じるか予測困難であるため,各医療スタッフ・診療科横断的な対応ができるチーム医療体制の構築が必要 HPSを発症した際は早期に対応を行わないと致死的になりうるため,注意が必要である。HPSとは,主要徴候として発熱,汎血球減少,肝脾腫,播種性血管内凝固症候群(DIC)を認める組織球の増殖と血球貪食像を病理学的特徴とする症候群である。HPSには遺伝的素因による原発性と,感染や膠原病・悪性腫瘍などに続発する二次性のものに分類される。免疫チェックポイント阻害薬投与後に生じるHPSについては,同薬が原因になって生じたものか,前述の二次性のものかの鑑別は困難であり,病態については未解明な部分も多い。しかしながら,HPSの基本病態はCD8+T細胞を中心とするリンパ球ならびに組織球の異常な活性化と,炎症性サイトカイン(IFN-γ, TNF-α, IL-1, IL-6, IL-18)など各種のサイトカインの過剰産生(サイトカインストーム)であると考えられるため,免疫チェックポイント阻害薬の投与によっても引き起こされる。 臨床的には,免疫チェックポイント阻害薬投与後に,持続する高熱に加えて急速な血小板数の減少を認めた場合は,HPSも鑑別診断として挙げ,直ちに血球貪食像や血清フェリチン値や可溶性IL-2受容体値の上昇を確認し,確定診断後は速やかにステロイドの全身投与を開始することが推奨される。 がん免疫療法の時代になって,実地臨床においても診療体制が変わろうとしている。現時点でirAEの発症を事前に予測することは困難であり,予防法は確立されていない。消化管穿孔皮膚障害皮疹,白斑外科系オンコロジスト患者眼障害ICU・救急部放射線治療部IVR部非典型病態の診断消化器外科皮膚科泌尿器科乳腺科婦人科耳鼻咽喉科各種医療スタッフ眼科病理部放射線科リウマチ膠原病科内科系診療科内分泌内科腫瘍内科看護師薬剤師緩和医療科精神科小児科血球減少血球貧食症候群感染症科循環器内科神経内科呼吸器内科腎臓内科消化器内科内視鏡部血液内科内分泌障害下垂体,甲状腺,副腎,糖尿病感染症の鑑別日和見感染症循環器疾患心筋炎など神経・筋障害重症筋無力症,薬剤性肺炎感染性肺炎下痢・大腸炎肝障害神経障害(末梢・中枢)まとめ

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