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130第2章 がん免疫療法したがって,適切にirAEを管理するためには,正確に診断し,適切な重症度の評価を行った上でなるべく早期に治療を開始する必要がある。irAEの診断を行う際には,がん自体の進行や感染症の合併,併用薬の副作用などを系統的に鑑別したうえで,頻度の高いirAE,頻度は低いが重篤なirAEに対応していく必要がある。発症部位・病態が多岐多様にわたるため,院内・院外を含め,各診療科・医療スタッフを横断するチーム体制を構築して診療に臨むことが望ましい(図5) 。現状でエビデンスが限られる中,①各irAEに対する対処法は今後変わっていく可能性あること,②承認される免疫チェックポイント阻害薬が増えていく中で,各社の適正使用ガイドが一致しない点があること,③今後,併用療法(I-O同士とは限らない)の承認が増えてくることが予想されるが,免疫チェックポイント阻害薬単独療法と各種併用療法では異なる対応が必要となる可能性があること,④同時併用でなく順次投与であってもirAEが高頻度で出現する組み合わせが報告される可能性があることなど,irAEについては未解明の部分が多く,実臨床でのデータの蓄積が待たれる。■文献 1) Brahmer JR, Lacchetti C, Schneider BJ, et al. Management of Immune-Related Adverse Events in Patients Treated With Immune Checkpoint Inhibitor Therapy: American Society of Clinical Oncolo-gy Clinical Practice Guideline. J Clin Oncol. 2018;36(17):1714-68. 2) https://ctep.cancer.gov/protocolDevelopment/electronic_applications/ctc.htm#ctc_50 3) http://www.jcog.jp/index.htm 4) がん免疫療法ガイドライン第2版.日本臨床腫瘍学会編.2019.金原出版(北野滋久)

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