※腫瘍特異的T細胞輸注療法に伴うサイトカイン放出症候群に対し保険適用を有する。免疫チェックポイント阻害薬の副作用管理13サイトカイン放出症候群97 Ⅱ表1 免疫関連CRSの管理早期に抗サイトカイン療法を開始する方針へと変遷している5)。発症機序としてはさまざまなサイトカインの放出が報告されているが,CRSによる有害事象に対してIL‒6が中心的役割を果たすことから6),CAR‒T細胞療法でGrade 2以上のCRSが生じた場合は抗IL‒6受容体抗体薬(トシリズマブ)が第一選択であり,対症療法に反応せず3日以内に改善しないGrade 1に対しても投与を検討する。Grade 3以上ではステロイド全身投与を開始し,トシリズマブで改善しないGrade 2に対しても投与を検討する。 CAR‒T細胞療法後に重篤なCRSを発症した場合,神経症状(immune effector cell‒associated neurotoxicity syndrome:ICANS)として意識障害,錯乱,譫妄,失語,幻覚,振戦,歩行障害,痙攣などをきたしやすいことが知られており5),発熱や循環呼吸動態が正常化した後も神経症状の動きに注意が必要である。CRSやICANSは基本的に発熱を伴って発症するが,二重特異性抗体療法などのように前投薬としてステロイドを用いた場合は,38℃以上の発熱を伴わずにCRSやICANS症状を認める場合があり注意が必要である。◉参考文献1) Neelapu SS, Locke FL, Bartlett NL, et al. Axicabtagene Ciloleucel CAR T‒Cell Therapy in Refrac-CTCAE GradeGrade 1 全身症状の有無は問わない発熱Grade 2 輸液に反応する低血圧;<40%の酸素投与に反応する低酸素症Grade 3 昇圧剤単剤で管理できる低血圧;≧40%の酸素投与を要する低酸素症Grade 4 生命を脅かす;緊急処置を要するtory Large B‒cell Lymphoma. N Engl J Med. 2017;377(26):2531‒44.2) Schuster SJ, Svoboda J, Chong EA, et al. Chimeric Antigen Receptor T Cells in Refractory B‒Cell Lymphomas. N Engl J Med. 2017;377(26):2545‒54.3) Maude SL, Laetsch TW, Buechner J, et al. Tisagenlecleucel in Children and Young Adults with B‒Cell Lymphoblastic Leukemia. N Engl J Med. 2018;378(5):439‒48.4) Lee DW, Gardner R, Porter DL, et al. Current concepts in the diagnosis and management of cyto-kine release syndrome. Blood. 2014;124(2):188‒95.5) Lee DW, Santomasso BD, Locke FL, et al. ASTCT Consensus Grading for Cytokine Release Syn-drome and Neurologic Toxicity Associated with Immune Effector Cells. Biol Blood Marrow 投与の可否 ベースラインに回復するまで投与を中断する。 ベースラインに回復するまで投与を休止する。 ベースラインに回復した場合,投与再開を検討する。 投与を中止する。対処方法 直ちに投与を中断する。 発熱に対する対症療法を行うとともに,感染の有無を確認する。 対症療法にて速やかに解熱しないときは,抗サイトカイン療法(トシリズマブ※)を検討する。 直ちに投与を中断する。 集中治療室管理を検討する。症状に応じた対症療法(酸素吸入,補液など)と抗サイトカイン療法(トシリズマブ※)による適切な処置を行う。 トシリズマブ※および対症療法にて速やかに改善しないときは,ステロイド全身投与(デキサメタゾン10~20 mg/日または同等の治療)を検討する。 直ちに投与を中断し,再開しない。 集中治療室管理とし,症状に応じた対症療法(酸素吸入,人工呼吸器管理,昇圧剤,人工透析など)と抗サイトカイン療法(トシリズマブ※およびステロイド全身投与(デキサメタゾン10~20 mgを6時間ごとに静脈内投与など,効果がない場合はステロイドパルス療法)による適切な処置を行う。
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