10.1 BRAF12Ⅴ3表10—1 BRAF遺伝子変異のclass分類(文献2より)Class BRAF遺伝子はBRAFタンパクをコードする遺伝子であり,RAS/RAF/MEK/ERK経路を構成するRAFファミリーの一つである。RAFタンパクにはARAF,BRAF,CRAFが知られている。BRAF遺伝子は7q34に存在し,23のエクソンからなる1)。 BRAF遺伝子変異は様々な疾患で報告されているが,変異したBRAFタンパクのキナーゼ活性により,class 1~class 3に分類されている(表10—1)2)。Class 1はBRAF V600変異で,変異BRAFタンパクのキナーゼ活性は野生型とくらべ高度に上昇し(V600Mでは中等度),単量体の変異BRAFがRAS非依存的に下流シグナルを活性化する。Class 2もRAS非依存性であり,キナーゼ活性が中等度~高度に上昇しており,野生型BRAFと二量体を形成し下流シグナルを活性化する。Class 3は,キナーゼ活性は低下しているが,野生型BRAFまたはCRAFと二量体を形成し,二量体が上流からの刺激により活性化されることで下流シグナルを活性化する。悪性黒色腫ではBRAF class 3遺伝子変異にRAS/NF1の変化を伴うことが多い2)。Class 1変異は他のRAS経路の遺伝子変化と相互排他的であるとされる一方で,class 2,class 3ではRAS依存性は症例ごとに異なっており,class分類の問題点も指摘されている3)。 Caris Life Sciences社から報告された114,662例のNGSを用いた解析結果では,BRAF遺伝子変異は全体で3.9%(4,517/114,662例)に認められた4)。うち62.1%がclass 1(V600変異)であり,16.5%がclass 2,17.7%がclass 3であった。がん種別の頻度では,悪性黒色腫が39.7%(1,271/3,203例),甲状腺がん33.3%(165/496例),小腸がん8.9%(66/742例)の順に頻度が高く,大腸がん8.7%(1,280/14,680例),非小細胞肺がん4.1%(772/18,944例),胆管がん3.8%(79/2,068例),low grade glioma 3.1%(15/478例)でBRAF遺伝子変異が認められた。また,classic hairy cell leukemiaではほぼ全例にBRAF V600E変異が認められる5)。ほかにも,Erdheim—Chester病6)やランゲルハンス細胞組織球症7)でも高頻度でⅤ その他V600E,V600K,V600D,V600R,V600MK601E,K601N,K601T,L597Q,L597V,G469A,G469V,G469R,G464V,G464E,Fusions*(KIAA1549‒BRAFなどのように,RAS結合部位が欠損するもの)D287H,V459L,G466V,G466E,G466A,S467L,G469E,N581S,N581I,D594N,D594G,D594A,D594H,F595L,G596D,G596R79その他の臓器横断的バイオマーカー10その他
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