10215T
9/12

215張っていただきたい。スコープの操作性は小弯および前壁後壁までは何とか維持されているが,大弯にかかると急に不良となる。反転視では,ナイフは筋層に直行する。順方向視ではダウンが効かず届かないうえ,拍動・呼吸性変動の影響が大きくなる。血管も比較的豊富で筋層は薄い。低周波による神経筋刺激も起こる可能性がある。大弯唇領域,穹窿部側にどこまで張り出しているかが問題となる。症例ごとに,Methodの選択,ストラテジーの立案が重要である。この部位の基本は,いきなり大弯唇領域,穹窿部側に挑むのではなく,肛門側から処置を開始し粘膜フラップの下を伝うようにして同領域に到達することである。後壁側は比較的スムーズなフラップ形成が可能であるが,前壁側はバックハンドでのトリミングとフラップ形成が必要で,やや難易度は高い。操作性の維持,切開・トリミング時の出血を防止する意味ではPCMも奏効することが多い。・病変の状況:体上部後壁3 cm大のⅡc病変。マージンを取ると切開ラインは噴門部小弯後壁および大弯唇にかかる。反転でFornix側からアプローチすると筋層に直行する。体上部小弯や肛門側から剥離を開始すると,大弯唇領域は届きにくく折れ返った状態になると予想される。噴門部全周性ESD後の内視鏡像。噴門から体上部にかけて全周性にESDを施行した(症例3-1-3-2))。噴門を取り巻くように走行する内側縦斜走筋群と内輪筋の関係,太い穿通血管の断端と同部の筋層の様子がよく観察される。図3-1-1)噴門部における筋層の特徴1.噴門部症例3-1-1-1) 1 噴門部小弯および前後壁体上部後壁 Ⅱc / CFM

元のページ  ../index.html#9

このブックを見る