図2 傾眠図3 重篤な有害事象独投与群0名(0%)〕。 Naviganteら(2006)4)の試験では,各群の治療に関連した重篤な有害事象(死亡および日中6時間以上の睡眠)が評価されたが,群間の有意差検定は行われなかった〔モルヒネ単独投与群:13名(37.1%,日中の6時間以上の睡眠:2名,死亡11名),ミダゾラム単独投与群10名(30.3%,死亡10名)〕。 重篤な有害事象に関して,2件の研究を統合したところ,RR 1.25(95%CI 0.64■2.45)で,重篤な有害事象に関してモルヒネ群とそれ以外の薬剤群間で有意差を認めなかった。異質性はI2=0%,p=0.51であった(図3)。 以上より,モルヒネ全身投与はその他薬剤群と比較したメタアナリシスでは有意な呼吸困難の緩和の効果を認めなかったが,プラセボ群と比較したメタアナリシスでは有意差を認めており,呼吸困難の緩和に有用であると判断した。また,傾眠,重篤な有害事象についてはモルヒネ群とそれ以外の薬剤群で有意差を認めなかったため,益と害の差は比較的大きいと考え,「強い推奨」とした。エビデンスの確実性に関しては,複数の無作為化比較試験はあるが,小規模のクロスオーバーデザインの試験が含まれること,その他のオピオイド対照群を含めたメタアナリシスではモルヒネの優位性が証明されていないことから,「中程度」とした。 したがって,本ガイドラインでは,がん患者の呼吸困難に対して,モルヒネ全身投与を行うことを推奨する。ただし,モルヒネ投与後の呼吸困難緩和効果,傾眠などの有害事象評価を適切に実施して,効果が得られない場合や有害事象が大きい場合には,中止を検討すること。**134Ⅲ章 推 奨
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