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Ⅱ　章背景知識2呼吸困難の原因 1 　呼吸困難の原因　がん患者において呼吸困難の発生する頻度は54〜76％と報告されている。非がん進行性疾患患者ではその頻度はさらに多いと報告されており，特に呼吸器疾患，心疾患，神経筋疾患などでの合併頻度は90％にまで上ると報告されている。　呼吸困難の原因の分類として，①胸腔内局所（心肺）における原因，②全身状態による原因，と解剖学的に分ける考え方と，①原疾患に関連した原因，②原疾患治療に関連した原因，③原疾患とは直接関連しない原因，と病因論的に分ける考え方とがある。これらを表1にまとめた。MAO:major airway obstruction，COPD:chronic obstructive pulmonary disease212　呼吸困難の原因原疾患に関連した原因原疾患治療に関連した原因原疾患とは直接関連しない原因胸腔内にある原因【がん】・肺実質への浸潤　　肺がん，肺転移・胸壁の腫瘍　　中皮腫，胸壁への広汎な浸潤・悪性胸水・主要気道閉塞（MAO）・心血管性　　上大静脈症候群　　悪性心囊水・リンパ管性　　がん性リンパ管症【非がん進行性疾患】・心不全・ 慢性閉塞性肺疾患（COPD）/間質性肺疾患・ 胸水（心不全，肝硬変，腎不全など）・外科治療　　片肺切除，肺葉切除・化学療法　　薬剤性肺障害　　薬剤性心筋症・放射線治療　　放射線肺臓炎　　放射線性心膜炎・肺炎・気胸・肺塞栓胸腔外にある原因【がん】・全身衰弱に伴う呼吸筋疲労　　がん悪液質症候群　　腫瘍随伴症候群・血液　　貧血　　過粘稠症候群・横隔膜の挙上　　横隔膜麻痺　　大量腹水　　肝腫大【非がん進行性疾患】・大量腹水（肝硬変，心不全など）・神経筋疾患・貧血・ステロイドミオパチー（筋症）・不安，抑うつ，精神的ストレス・パニック発作表1　呼吸困難の原因