10219T
4/15

1原疾患に関連した原因 がんに関連したものでは,胸腔内局所(心肺)における原因としては,肺内腫瘍(原発・転移),悪性胸水,広汎な胸壁腫瘍,悪性心囊水,上大静脈症候群,主要気道閉塞(major airway obstruction;MAO),がん性リンパ管症などが挙げられる。非がん進行性疾患では,胸腔内局所(心肺)の疾患である慢性呼吸疾患や心不全が挙げられ,腎疾患や肝疾患では胸水貯留に伴うものも挙げられる。 また,全身状態による原因の主なものには,貧血,腹水,肝腫大,全身衰弱や神経筋疾患に伴う呼吸筋疲労,などが挙げられる。2原疾患治療に関連した原因 がんや非がん進行性疾患の治療に関連した原因としては,各種治療薬(抗がん薬*,アミオダロンなど)による薬剤性肺障害,放射線治療による放射線肺臓炎などがある。3原疾患とは直接関連しない原因 原疾患と直接関連しない原因としては,合併症としての肺炎や気胸,肺塞栓など胸腔内局所の問題や,パニック発作など胸腔外の問題が挙げられる。 *:薬剤性肺障害を生じやすい抗がん薬微小管阻害薬:ビノレルビン,エリブリンアルキル化薬:シクロホスファミド,メルファラン,ベンダムスチン代謝拮抗薬:ゲムシタビン※,クラドリビン抗生物質:ブレオマイシン※,ペプロマイシン葉酸拮抗薬:ペメトレキセドトポイソメラーゼ阻害薬:イリノテカン※,アムルビシン※分子標的治療薬:ゲムツズマブ,イマチニブ,ボルテゾミブ,ゲフィチニブ,エルロチニブ,アファチニブ,オシメルチニブ,スニチニブ,サリドマイド,エベロリムス,テムシロリムス,クリゾチニブ,アレクチニブ免疫チェックポイント阻害薬:ニボルマブ,イピリムマブ,アテゾリズマブ,ペムブロリズマブ,デュルバルマブなど※間質性肺炎に対して禁忌となっている薬剤 3) Chiu TY, Hu WY, Lue BH, et al. Dyspnea and its correlates in Taiwanese patients with ter- 4) Skaug K, Eide GE, Gulsvik A. Prevalence and predictors of symptoms in the terminal stage of 5) Moens K, Higginson IJ, Harding R;EURO IMPACT. Are there differences in the prevalence of palliative care■related problems in people living with advanced cancer and eight non■can-cer conditions? A systematic review. J Pain Symptom Manage 2014;48:660■77 6) 山口 崇.症状マネジメント:呼吸困難 原因と強さの評価から最適なケアを考える.Hospi-【参考文献】 1) Reuben DB, Mor V. Dyspnea in terminally ill cancer patients. Chest 1986;89:234■6 2) Bruera E, Schmitz B, Pither J, et al. The frequency and correlates of dyspnea in patients with advanced cancer. J Pain Symptom Manage 2000;19:357■62minal cancer. J Pain Symptom Manage 2004;28:123■32lung cancer:a community study. Chest 2007;131:389■94talist 2014;2:913■23(山口 崇)22Ⅱ章 背景知識

元のページ  ../index.html#4

このブックを見る