10219T
7/15

図1 安静時低酸素血症あり,安静時の呼吸困難(修正Borgスケール)図2 安静時低酸素血症あり,安静時の呼吸困難(VAS,介入前後の変化)図3 安静時低酸素血症あり,運動負荷時の呼吸困難(修正Borgスケール)図4 安静時低酸素血症あり,呼吸困難による支障(CRQ dyspnea domain) Jaroschら(2017)4)は,108名のCOPD患者を対象として,酸素吸入(鼻カニュラ2 L/分)が空気吸入に比べて運動耐容能を改善するか検証するクロスオーバー試験を行った。安静時に低酸素血症のある34名のサブグループでは,修正Borgスケールで評価する歩行後の呼吸困難は酸素と空気との間で有意差がなかった(空気と酸素の差−0.6,95%CI −1.3■0.1)(図3)。 日常生活における呼吸困難に対する労作時の酸素吸入の効果を検証した研究が1件あった。 Lacasseら(2005)5)は,長期酸素療法の適応のあるCOPD患者を,①酸素濃縮器のみ,②酸素濃縮器に加えて携帯ボンベによる酸素吸入,③酸素濃縮器に加えて携帯ボンベによる空気吸入,を行う3群に振り分けて,6分間歩行試験による運動耐容能と,chronic respiratory questionnaire(CRQ)によるQOLを比較する3カ月ずつのクロスオーバー試験を計画した。ところが対象患者が携帯ボンベをほとんど使用しなかったため,試験は中間解析の時点で早期中止となり,データが得られた24名での解析となった。CRQのdyspnea domainの評価では,3群間で有意差を認めなかった(p=0.67)(図4)。 5件のうち酸素が対照と比較して症状を改善したのは1件5)で,残りの4件では酸98Ⅲ章 推 奨

元のページ  ../index.html#7

このブックを見る