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2痛みに対する緩和ケアⅣ 章2 苦痛に対する緩和ケア要点痛みに関する問診,痛みの部位・範囲・経過,身体所見(知覚異常など),画像検査を確認し,痛みの原因を明らかにする抗がん治療,合併する感染症に対する治療など痛みの原因に対する治療を行えないかを検討するオピオイドの減量や変更などを検討する・ 意識状態やコミュニケーションできる程度と苦痛緩和のバランスを相談する痛みが緩和できる動作・体位の工夫や環境整備(マットなど),装具の利用などを行うきるようなケアを行う・ 夜間の就眠を確保する・ 持続痛に対しては,効果があり意識に影響しない範囲でオピオイドを増量する・ 突出痛への対応を行う・ オピオイドの効果が不十分な場合,オピオイドの投与経路の変更,オピオイドスイッチング,非オピオイド鎮痛薬(NSAIDs・アセトアミノフェン)の使用・増量,鎮痛補助薬の併用などを行う・ 放射線治療を検討する・ IVR(interventional radiology)を検討する・ 神経ブロックを検討する主な具体的な対応例31 本項では,治療抵抗性が疑われる難治性の痛みに対して,持続的な鎮静薬の投与を行う前に実施すべき対応について述べる。治癒を見込むことができない成人がん患者を対象とし,苦痛緩和のための鎮静の対象という点からは,生命予後がより限られた患者を実際的な対象とする。 痛みが治療抵抗性となり鎮静を必要とすることはそれほど多くない。しかし,苦痛が臓器障害を反映している呼吸困難やせん妄に比べると,治療抵抗性の痛みは全身状態の良い患者でも生じうる。場合によっては経口摂取が十分できている患者の痛みが緩和困難となることも想定される。全身状態が良い患者に鎮静を実施すれば,患者の全身状態を大きく変化させたり,生命予後を短縮したりする可能性がある。したがって,痛みに対して鎮静を検討する場合は,痛みが「本当に治療抵抗性であるか」,すなわち鎮静以外に緩和する表1 痛みの治療の概要原因の同定と治療原因の同定治療目標の設定痛みの病態により,治療目標苦痛を悪化させている要因の改善を目的としたケア医学的治療痛みの原因に対する治療オピオイドによる痛覚過敏の可能性の検討非がん性疼痛に対する治療非がん性疼痛に対して,原因に対する治療,オピオイド以外の鎮痛薬,心理社会的要因に対するケア,神経ブロック,リハビリテーションの介入を優先する・ 痛みの病態を患者にわかりやすく説明し,現実的な治療目標を設定すを設定身体的要因に対するケア心理社会的要因に対するケア・ 不安,恐怖,怒り,孤独感,抑うつ,スピリチュアルペインを緩和で薬物療法薬物療法以外の治療る1概 要(表1)

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