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11キャラクターと作品世界とそれを診断する視座Chapter 1人物紹介思ったことが口に出さなくても近くにいる人の頭の中に伝播し、悟られてしまう人のことを「サトラレ」と呼ぶ。1000万人に1人の確率で存在し、彼らは例外なくIQ 180以上の天才である。だが、彼らは自分が悟られていることを知らない。サトラレであることを自覚してしまうと精神的に耐えられないことから、政府が彼らの能力を社会に活かすため保護法を制定し、徹底的に保護しているためである。里見健一は「サトラレ」の症例7号であり、新米外科医である。里見は岐阜の田舎町で祖母と暮らしており、ほとんど町を出たことがない。あらゆる思考が思念波となって周囲に伝播してしまうため、恋愛もうまくいかず、外科医であるが手術を任されたこともない。当初政府は里見が外科医になることを見守っていたが、臨床には不向きであった。病院は彼の思念波に振り回され、保護しきれない状態であったため、彼のIQの高さを活かせ、かつ保護しやすい薬学研究所への転職が計画された。しかし、里見の嘘偽りのない思念波が患者に評価されるようになる。その想像力の欠如はどこにあるのか里見健一出典佐藤マコト:サトラレ,モーニングKC(講談社)/イブニングKC(講談社),2000〜2005年

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