い・小児敗血症の定義がまだ定まっていない現状が示すように,診断は何かひとつ押さえておけば済むほど単純ではない。そして治療についても同様である・ある程度の型を用いて,包括的に対応することが求められる。その型はバンドル(束)という言葉で表されている。実際に,認知・治療のバンドル遵守率が高ければ高いほど,死亡率が低くなる4)敗血症疫 学・実際にどういう患者が,感染症が,起炎病原体が小児敗血症を占めている認知バンドル・敗血症は疑うことが重要である。現状では効率的に小児敗血症を拾い上げる手立てはない。しかし,チームで対応開始のスイッチが入れられるような『認知バンドル』を各医療機関で作成するか? 小児敗血症の疫学を知るということは,敵を知るために重要である・世界規模の疫学研究であるSepsis Prevalence, Outcomes, and Therapies(SPROUT 研究:ref2)によると,小児重症敗血症の特徴は以下である2)・これらの疫学データは基本的にPICU内でカウントされている。日本では敗血症をPICUで診るという文化自体が根付いていないため,データに現れない敗血症が多く存在する可能性がある・忘れてはならないのが,医師の臨床診断と重症敗血症の定義に沿った診断には解離があることである。医師が『これはいかん』と思った直感はきっと大事である・定義に沿った診断のうち,臨床診断された症例は69%にすぎない3)。しかも臨床診断と定義に沿った診断の死亡率には差がないCh.201129ref3・院内死亡率は10-20%程度・基礎疾患が70-80%・気道感染症が多い・ 原因微生物は70-80%で判明し,GNR,GPCがそれぞれ30%弱,カンジダ10%,ウイルス20%。逆に20-30%が原因不明つ疑うか? 治療はどうするか?
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