NNTは1人の恩恵が得られるために必要な介入数である。「NNT=3」は3人に治療してはじめて1人に恩恵が得られるという意味で,リスク差(risk differ-ence:RD)を用いてNNT=1/RDと計算する。 NNTは治療効果を想像するのに役立つ。介入したすべての人に恩恵がある,つまりNNT=1は目指すところではあるが,実際にそんなことはほとんどない。「NNT=3」はかなりよい方である。一方で,NNTが多くても無駄というわけではない。「NNT=100」の治療でも,死亡や重篤な後遺症を免れるためであれば,99人に対して恩恵はなくとも,施す意義は非常に高い。NNTは得られる恩恵とそれを得るためにかかるコストなどのバランスによって評価すべきである。治療バンドル敗血症を疑うポイント・「日本版敗血症ガイドライン2016」(J-SSCG2016)では循環還流低下のサインとして以下が挙げられている・しかし実際にどの所見がどれほど有効かの結論は出ておらず,実際には「お前が敗血症と思ったら敗血症だ」という感覚をチームで共有できることが重要・このバンドルを遵守すればNNT3で敗血症による死亡を減らす(38%→8%)ことができ,1時間遅れる毎に死亡オッズ比が倍になる5) ①末梢・中枢の脈拍触知不良,②末梢と中枢体温較差,③皮膚色不良,④末梢冷感,⑤CRT<2sec,⑥低血圧,⑦頻脈,⑧意識レベル低下,⑨乏尿認知後,できるだけ早く(1時間以内を推奨)①血液培養を複数セット採取②適切な抗菌薬開始③等張液のボーラス投与を行い,さらに④呼吸器・心血管作動薬管理が継続的に可能な医療機関への搬送が行えるよう,全力を尽くす130治療必要数(number needed to treat:NNT)
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