る。呼吸器だけでなく,循環,中枢神経も護ることを意識する,ということがポイントになる。・・具体的には VILI 軽減を意識しながら(図 D-6),target SpO2 や CO2 内での管理をするために,挿管・非挿管の選択,換気モードの選択,呼吸器設定の調節を行っていく。・・新生児特有の呼吸器系の解剖学的,生理学的特徴も考慮する必要がある。生理学的特徴としては,サーファクタントの産生,胎児 Hb の特徴,呼吸中枢の未熟性などが挙げられる。□ Target O2,Target CO2・・早産児,特に未熟性の強い超低出生体重児などでは至適 O2 と CO2 が狭い。・・低 O2 は死亡,壊死性腸炎,発達遅滞の,高 O2 は未熟児網膜症や CLDの発症リスクである 1, 2)。・・CO2 や pH は脳や肺血流量と関連がある。高 CO2 は脳血流を増加させ脳室内出血,肺血管抵抗を上昇させ肺高血圧症のリスクとなり得る。低CO2 は脳血流を減少させ,脳室周囲白質軟化症のリスクとなり得る 3, 4)。・・未熟性の強い児においては,急性期は target SpO2 は 90〜95%程度,それ以降では 95%以上というイメージで,target CO2 は 35〜45 mmHg 程度で管理していることが多い。近年では,SpO2 90〜95%より少し低めの管理も注目されている。・・慢性期以降では,permissive hypercapnia という,VILI を抑えることを優先して,pH が保たれていれば,ある程度の高 CO2 を許容する管理を行うこともある。pH は 7.25,CO2 は 60 mmHg が一つの基準として用いられている。□酸素解離曲線・・胎 児 血 は ヘ モ グ ロ ビ ン の 大 部 分 が ヘ モ グ ロ ビ ン F で あ り,2,3-DPG(2,3-diphosphoglycerate)濃度が低いため,酸素解離曲線(oxygen dis so-ciation curve;ODC)が成人血に比べて左方にシフトしている(図 D-7)。・・これは,酸素濃度が低い領域では末梢組織への酸素供給にとっては有利に働くが,出生して酸素濃度が高い領域に移動すると不利になることを意味する。新生児の呼吸状態が変動,重症化しやすい一因である。Ⅲ章 ハイリスク児220
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