14  Ⅲ.所見の記載法

 4 )膵局所進展度

(1)T分類

 主病巣の膵局所進展度はT分類で記載するが,さらに詳細には,局所進展度因子

注1

を記

載する。CH,DU,S,RP,PV,A,PL,OOの記号で記載できる。

 TX:膵局所進展度が評価できないもの
 T0:原発腫瘍を認めない
 Tis:非浸潤癌

注2

 T1:腫瘍が膵臓に限局しており,最大径が20 mm以下である

注3

   T1a 最大径が5 mm以下の腫瘍
   T1b 最大径が5 mmをこえるが10 mm以下の腫瘍
   T1c 最大径が10 mmをこえるが20 mm以下の腫瘍
 T2:腫瘍が膵臓に限局しており,最大径が20 mmをこえている
 T3: 腫瘍の浸潤が膵をこえて進展するが

注4

,腹腔動脈(CA)もしくは上腸間膜動脈

(SMA)に及ばないもの

 T4:腫瘍の浸潤が腹腔動脈(CA)もしくは上腸間膜動脈(SMA)に及ぶもの

注5

注1:局所進展度因子
 ・胆管浸潤 CH0:なし CH1:あり

 CHX:判定不能

  

組織学的には胆管線維筋層あるいはそれより胆管内腔側への浸潤

 ・十二指腸浸潤 DU0:なし DU1:あり

 DUX:判定不能

  

組織学的には十二指腸筋層あるいはそれより十二指腸内腔側への浸潤

 ・膵前方組織への浸潤 S0:なし S1:あり

 SX:判定不能

  

* 

膵前方組織(線維結合組織,脂肪組織など)への浸潤。漿膜面に露出する浸潤を認める場合や
膵に隣接する大網,小網,結腸間膜などが腫瘍の浸潤によって癒着している場合もS1とし,
その由記載する。

 ・膵後方組織への浸潤 RP0:なし RP1:あり

 RPX:判定不能

  

膵後方組織(線維結合組織,脂肪組織など)への浸潤

   注: SおよびRPは,膵をこえた腫瘍進展の有無を評価しT3を規定する因子となる。S1か

RP1かを決めがたい場合は,便宜的にRP1とする。

 ・門脈系への浸潤 PV0:なし PV1:あり

 PVX:判定不能

  

組織学的には外膜を含む静脈壁への浸潤

   注:門脈系とは,門脈(PVp),上腸間膜静脈(PVsm),脾静脈(PVsp)とする。

 ・動脈への浸潤 A0:なし A1:あり

 AX:判定不能

  

組織学的には外膜を含む動脈壁への浸潤

   注: 動脈とは,上腸間膜動脈(Asm),腹腔動脈(Ace),総肝動脈(Ach),脾動脈(Asp)と

する。

 ・膵外神経叢浸潤 PL0:なし PL1:あり PLX:判定不能

   注:膵外神経叢を同定するのが困難な場合は判定不能とする。

 ・他臓器への浸潤 OO0:なし OO1:あり OOX:判定不能

   注: 他臓器とは副腎,胃,大腸,脾臓,腎静脈,腎,下大静脈,大動脈などで浸潤臓器を明