1.原発巣の記載  15

記する。

注2: 非浸潤性の粘液性囊胞腺癌および膵管内乳頭粘液性腺癌,高異型度膵上皮内腫瘍性病

変(high—grade PanIN)などに相当する。

注3: 膵管内進展部分を含めた大きさが20 mmをこえていても膵管壁をこえた浸潤部がこの

条件を満たしていれば膵局所進展度はT1とする。微小浸潤癌もここで扱う。なお,膵
管内乳頭粘液性腺癌,膵管内管状乳頭腺癌や粘液性囊胞腺癌の場合も浸潤部の大きさ
でT1a,T1b,T1cを判定する。

注4: 胆管(CH),十二指腸(DU),膵前方組織(S),膵後方組織(RP),門脈系(PV),総

肝動脈(Ach),脾動脈(Asp),膵外神経叢(PL),他臓器(OO)のいずれかに及ぶ
もの。

注5:CAおよびSMA浸潤は画像的には接触(abutment,contact相当)以上とする。

【膵外神経叢の解剖的再検討】

 規約第3~6版における膵外神経叢の定義と分類は,吉岡らの文献

1,2)

を参考にして,7つ

の神経叢(PLphⅠ:膵頭神経叢第Ⅰ部,PLphⅡ:膵頭神経叢第Ⅱ部,PLsma:上腸間膜
動脈神経叢,PLcha:総肝動脈神経叢,PLhdl:肝十二指腸間膜内神経叢,PLspa:脾動脈
神経叢,PLce:腹腔神経叢)に分類している。

 今回,第6版まで使用されていた図(第6版図3a,図3b)における以下の問題点が指
摘されたため,新たに解剖規約委員(膵外神経叢ワーキンググループ)により,膵頭神経
叢を中心に解剖学的および外科医の視点から再検討を行った。
 (1)第6版図3a膵神経叢(横断図)においては,膵頭神経叢第Ⅰ部,第Ⅱは同じ横断面
に描かれているが,手術所見では前者は頭側にあり,後者は尾側にあるのでひとつの横断
図に描くことは不適切と考えられる。

図 3.第6版での膵外神経叢

Duodenum

PV

PL ph

Celiac ganglion

Right  kidney

Aorta

Inferior vena cava

Left  kidney

SMA

PL ph

Pancreas

Duodenum

PV

PL ph

Celiac ganglion

Right  kidney

Aorta

Inferior vena cava

Left  kidney

SMA

PL ph

Pancreas

図3a.膵神経叢(横断図)

図3b.膵外神経叢

PL phI 膵頭神経叢第Ⅰ部 

PL phII 膵頭神経叢第Ⅱ部

PL sma 上腸間膜動脈神経叢 

PL cha 

総肝動脈神経叢

PL hdl 

肝十二指腸間膜内神経叢 

PL spa 

脾動脈神経叢

PL ce 

腹腔神経叢

Right celiac ganglion

Duodenum

PL ph

PL ph

Left celiac ganglion

Uncinate process

SMA

PL ce

PL sma

Right celiac ganglion

Duodenum

PL ph

PL ph

Left celiac ganglion

Uncinate process

SMA

PL ce

PL sma