II

.TNM分類・補足  

9

1

・主肺動脈(肺動脈幹)
・心膜内部における左右の肺動脈
・心膜内部における左右の上下肺静脈
・腕頭動静脈,鎖骨下動静脈
・左総頸動脈
上記以外の遠位分枝への浸潤はT4としない。

13

)心膜(線維性心膜および漿膜性心膜の壁側板)への直接浸潤はT3とし,心外膜(漿膜性心膜の臓
側板),心臓への浸潤はT4に分類する。

14

)C8より高位の腕神経叢浸潤はT4とする。

15

)癌性リンパ管症については,本規約では以下のように規定する。原発巣と非連続で同一葉内の
みにみられる場合はT3,同側の異なった肺葉にみられるものはT4,対側肺にみられるものは
M1a

とする。

16

)副腫瘍結節separate tumor noduleを認める場合,それが転移か多発かによって記載は異なる。

(1)同一の組織型であるなど転移と思われる際,その腫瘤が原発巣と同一葉にあればT3,同側他

葉にあればT4,対側肺にあればM1aに分類する。

(2)組織型が異なる場合や,同一組織型でも形態,免疫組織化学的・分子生物学的に異なる腫瘍

と考えられる場合,扁平上皮癌の場合で一方が上皮内癌の場合などは同時多発肺癌とする。同
時多発肺癌のTNM分類はより進行したほうの癌の病期とする。多発あるいは腫瘍個数を示す
ために,T2(m)あるいはT2(5)などと記載する。

2

.N分類に関して

1

)リンパ節内のisolated tumor cells(ITC)は転移陽性としない。病理記載を参照のこと(p.121)。

2

)リンパ節への腫瘍の直接浸潤もリンパ節転移として分類する。

3

.M分類に関して

1

)心囊水は胸水と同様に分類する。

2

)肺癌患者における胸水あるいは心囊水は腫瘍によることが多い。しかしながら少数の患者では

胸水・心囊水が血性,滲出性でなく,複数回の細胞診が陰性のことがある。このように胸水・心
囊水が腫瘍に関連していないと判断される場合は,胸水・心囊水を病期判定の要素から外して
M0

とする。

3

)原発腫瘍の胸膜への直接浸潤から非連続的に存在する同側の壁側および臓側胸膜の腫瘍病巣(播

種巣)はM1aに分類する。

4

)胸壁または横隔膜において壁側胸膜の外側に非連続性に腫瘍巣が存在している場合は単発なら

ばM1bに,多発ならばM1cに分類する。

5

)所属リンパ節でない,遠隔のリンパ節転移も単発ならばM1bに,多発ならばM1cと判定する。