第1章 診断およびサーベイランス

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で検出することができる。
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⊖1.早期造影効果あり

 Dynamic CT,dynamic MRIの動脈相で高吸収(高信号)域として描出され,門脈・平衡相で周
囲肝実質と比較して相対的に低吸収(低信号)域(washout)として描出された場合,典型的肝細
胞癌として治療方針決定に進む。Gd—EOB—DTPA造影MRIの場合は,肝細胞相の低信号化を
washoutと同様に扱う。ただし,海綿状血管腫は肝細胞相で低信号を示すので同時に施行される
MRIの他の撮像法と併せて除外する。
 Dynamic CTおよびdynamic MRIの禁忌などでソナゾイド

®

造影超音波を行った場合,後血管相

(Kupffer相)の造影欠損をwashoutと同様に扱うことも可能である。ただし,high—flowな海綿状

血管腫は早期血管相で造影され,Kupffer相で造影欠損を示す場合があり,肝細胞癌との鑑別が困
難であるため,他の画像検査で除外する必要がある。
 Dynamic CTの門脈・平衡相でwashoutが認められない場合,1 cm未満の病変かつ超音波で描
出可能であれば,3カ月毎に超音波検査で経過観察を行い,腫瘍径の増大あるいは腫瘍マーカーの
上昇を認めた場合,再度dynamic CTあるいはdynamic MRIを撮影する。超音波で描出できない
病変の場合,3カ月毎にdynamic CTあるいはdynamic MRIで経過観察を行う。なお,画像診断で
良性であることが確定した病変については経過観察は不要である。
 腫瘍径1 cm以上の場合,Gd—EOB—DTPA造影MRIを行う。肝細胞癌の確診が得られれば,治
療方針決定に進む。他の撮像法も含めて良悪性の鑑別が困難な場合,肝腫瘍生検,造影超音波,超
常磁性酸化鉄(SPIO)造影MRI,経動脈性門脈造影下CT(CTAP)/肝動脈造影下CT(CTHA)
を考慮する。
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⊖2.早期造影効果なし

 Dynamic CT,dynamic MRIの動脈相で高吸収(高信号)域として描出されない場合,腫瘍径1.5 
cm未満かつ超音波で描出可能であれば,3カ月毎に超音波検査で経過観察を行い,腫瘍径の増大あ
るいは腫瘍マーカーの上昇を認めた場合,再度dynamic CTあるいはdynamic MRIを撮影する。
超音波で描出されない病変の場合,dynamic CTあるいはdynamic MRIによる経過観察も考慮され
る。画像診断で良性であることが確定した病変について経過観察は不要である。
 Dynamic CT動脈相で高吸収域に描出されずかつ腫瘍径1.5 cm以上の場合,Gd—EOB—DTPA造
影MRIを撮影する。肝細胞相の低信号化が認められた場合,肝腫瘍生検,造影超音波,SPIO造影
MRI,CTAP/CTHAを考慮する。肝細胞相の低信号化が認められない場合,超音波で描出可能で
あれば,3カ月毎に超音波検査で経過観察を行い,腫瘍径の増大あるいは腫瘍マーカーの上昇を認
めた場合,再度dynamic CTあるいはdynamic MRIを撮影する。超音波で描出されない病変の場
合,dynamic CTあるいはdynamic MRIによる経過観察も考慮される。
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⊖3.他の悪性腫瘍が疑われる場合

 動脈相,門脈・平衡相の造影パターンから肝内胆管癌,転移性肝癌などが積極的に疑われる場合,
おのおのの精査を行う。