Ⅳ.肉眼型分類

1.基本分類

 癌腫の壁深達度が粘膜下組織(粘膜下層)までにとどまる場合に多くみられる肉眼形態
を「表在型」とし,固有筋層以深に及んでいる場合に多くが示す肉眼形態を「進行型」と
する。胃癌を粘膜面からみて,その形態を0型から5型に分類する。0型については,早
期胃癌の肉眼型分類を準用して亜分類する(以下の2.)。この分類は壁深達度とかかわり
なく判定するが,壁深達度(臨床分類では推定)を必ず併記する。術前治療を受けた症例
では,接頭辞yをつける(p.44参照)。

 0型 表在型:癌が粘膜下組織までにとどまる場合に多くみられる肉眼形態
 1型 腫瘤型:明らかに隆起した形態を示し,周囲粘膜との境界が明瞭なもの
 2型  潰瘍限局型:潰瘍を形成し,潰瘍をとりまく胃壁が肥厚し周囲粘膜との境界が比

較的明瞭な周堤を形成する

 3型  潰瘍浸潤型:潰瘍を形成し,潰瘍をとりまく胃壁が肥厚し周囲粘膜との境界が不

明瞭な周堤を形成する

 4型  びまん浸潤型:著明な潰瘍形成も周堤もなく,胃壁の肥厚・硬化を特徴とし,病

巣と周囲粘膜との境界が不明瞭なもの

 5型  分類不能:上記0~4型のいずれにも分類し難いもの

2.0型(表在型)の亜分類

(図13,日本内視鏡学会1962年

*3

を参考,改変)

 0-I型 隆起型:明らかな腫瘤状の隆起が認められるもの
 0-II型 表面型:隆起や陥凹が軽微なもの,あるいはほとんど認められないもの
  0-IIa 表面隆起型:表面型であるが,低い隆起が認められるもの
  0-IIb  表面平坦型:正常粘膜にみられる凹凸を超えるほどの隆起・陥凹が認められな

いもの

  0-IIc 表面陥凹型:わずかなびらん,または粘膜の浅い陥凹が認められるもの
 0-III型 陥凹型:明らかに深い陥凹が認められるもの

・ 0-I型と0-IIa型の区別は,第13版までは隆起の高さが正常粘膜の2倍以内のものを0-IIa

型とし,それを超えるものを0-I型としてきた。実際的には隆起の高さが2 mm程度ま
でのものを0-IIa型とし,それを超えるものを0-I型とする。

・ 混合型の表在型は,より広い病変から順に「+」記号でつないで記載する(例:0-IIc+

III)

  

* 

病変の面積に甲乙つけ難い場合は,より目立つ型を先に記載する(例:0-IIa+IIc)。

*3

 Tasaka S:Gastroenterological Endoscopy. 4:4—14, 1962

10  第1部 規約と説明