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Clinical Questions

 一次治療に分子標的治療薬が併用されていない場合の二次治療に関しては,BEV

(FOLFOX±BEV),AFL(FOLFIRI±AFL)は第Ⅲ相試験により,有意な生存期間の延長

が示されている(ECOG3200試験

201)

,VELOUR試験

191)

)。抗EGFR抗体薬(CET,PANI)

併用療法は,大多数が一次治療に分子標的薬が投与されていない二次治療としての第Ⅲ相試
験(EPIC試験

197)

,181試験

195)

)の結果,無増悪生存期間の延長,奏効割合の増加,QOL向

上に寄与することが示されたが,全生存期間は,試験治療後の抗EGFR抗体薬投与(クロス
オーバー)の影響等もあり,IRIベースの化学療法単独群に対して有意な改善は確認されな
かった。以上より,一次治療に分子標的薬が併用されていない場合には,二次治療として抗
EGFR抗体薬は提案される治療であるが(腫瘍縮小効果を期待したい状況や病勢により三次
治療までの継続が困難であることが予想される症例,など),血管新生阻害薬(BEV/RAM/
AFL)併用が可能な場合には二次治療としてBEV/RAM/AFL併用療法を行い,三次治療と
して抗EGFR抗体薬の投与を行うことが望ましい。
 BEVを含む一次治療が施行された場合の二次治療における分子標的治療薬の併用に関し
ては,化学療法+BEVの継続投与(bevacizumab beyond progression:BBP)(ML18147試

187)

),FOLFIRI+RAM併用療法(RAISE試験

190)

)FOLFIRI+AFL併用療法(VELOUR

試験

191)

)はそれぞれ第Ⅲ相試験により,プライマリーエンドポイントである全生存期間を有

意に延長した。一方,RAS野生型を対象にBEVを含む一次治療後の二次治療として抗EGFR
抗体の併用効果を検証した第Ⅲ相試験は報告されていない。BEV併用療法後の二次治療とし
て抗EGFR抗体薬併用療法とBEV併用療法を比較するランダム化第Ⅱ相試験(SPIRITT試

571)

,WJOG6210G試験

572)

,PRODIGE18試験

573)

)では,奏効割合はいずれも抗EGFR抗

体薬併用群が良好であったが,全生存期間,無増悪生存期間はいずれも有意差を認めなかっ
た。以上より,一次治療でBEVを投与した場合の二次治療におけるBEV/RAM/AFL療法
は,いずれも全生存期間の延長を示しており,推奨される。抗EGFR抗体薬は,一次治療で
BEVを投与した後の二次治療において腫瘍縮小効果を期待したい状況(治癒切除の可能性や
症状緩和など)や病勢により三次治療までの継続が困難であることが予想される症例に対し
ては考慮される。また,BEV/RAM/AFLの選択は副作用プロファイル,医療コストなどを
含めリスクベネフィットを考慮し,化学療法単独の選択肢も含めて治療法を選択することが
望ましい。血管新生阻害薬の使い分けに関しては,各臨床試験におけるsubset解析

574,575)

バイオマーカー解析

576)

からいくつか検討に値する因子は公表されているが,まだ確立され

たものはない。
 一次治療に抗EGFR抗体薬が投与された場合の二次治療に関しては,併用する分子標的治
療薬を評価する第Ⅲ相臨床試験は実施されておらずエビデンスは乏しい。しかしながら,

CQ 21

: 切除不能大腸癌に対する二次治療として分子標的治療薬の併用は 

推奨されるか?

① 血管新生阻害薬を併用することを強く推奨する。

(推奨度1・エビデンスレベルA)

② 抗EGFR抗体薬を併用することを弱く推奨する。

(推奨度2・エビデンスレベルA)