用であるといえる。1.高度の腸閉塞2.消化管閉塞3.消化管穿孔4.重篤な下痢5.難治性嘔吐6.活動性消化管出血7.汎発性腹膜炎8.膵性胸腹水高度の腸閉塞や腸管虚血,腸管壊死などの経腸栄養の禁忌条件(表1)に注意しながら施行すれば,重症例に早期から経腸栄養が可能である。また近年,腹痛,血清膵酵素の上昇,軽度の腸管麻痺や胃液の逆流があっても,さらに蠕動音が聴取できない場合でも,経腸栄養は安全に施行可能であることが明らかになってきた(表2)。発症早期に経腸栄養を開始することが,感染性合併症発生や在院日数の短縮のみならず致命率の低下にも貢献するとの結果が複数のRCTで示され1〜7),経腸栄養を早期に開始することの重要性が注目されている。そしてそれらのRCTの結果から,入院後48時間以内に開始した経腸栄養の重症急性膵炎の治療成績に与える影響を解析したメタ解析が複数報告されている(参考資料1)8〜11)。さらに,急性膵炎診療ガイドライン作成ワーキンググループで独自に行ったメタ解析でも,重症急性膵炎に対して入院後48時間以内に経腸栄養を開始することが,多臓器不全発生率やSIRS発症率を低下させるのみでなく致命率も低下させることが示された。その結果を図1に示す。以上の解析結果から,重症例に対しては,入院後48時間以内に経腸栄養を少量からでも開始することは有▶第Ⅵ章-CQ16の参考資料1は右のQRコードからご覧いただけます。1.腹痛2.嘔気3.血清膵酵素上昇4.腸管蠕動音消失5.胃内容逆流(経鼻胃管からの排出)102第Ⅵ章 急性膵炎の治療CQ16重症急性膵炎に対する経腸栄養の至適開始時期はいつか?[推 奨]経腸栄養は発症早期に開始すれば,合併症発生率を低下させ生存率の向上に寄与するので,入院後48時間以内に少量からでも開始する。 表1 経腸栄養の禁忌条件 参考資料1 急性膵炎に対する経腸栄養(EN)の開始時期に関するメタ解析とシステマティックレビュー 表2 下記の症状・所見があっても経腸栄養が可能である2回目:行うことを推奨する-16/16名:100%■解 説(強い推奨,エビデンスの確実性:高)▶投票結果:1回目:行うことを推奨する-9/15名:60%,行うことを提案する-6/15名:40%
元のページ ../index.html#7