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12A12Ⅲ各論 診断・治療上肢:グレード C1 下肢:グレード C1上肢:グレード C2 下肢:グレード C2Q14上肢リンパ浮腫(治療)71リンパ浮腫患者さんに対する用手的リンパドレナージ(MLD)の効果を示す十分なデータは,上肢・下肢ともに少なく,症例の選択は慎重に行わなければなりません。リンパ浮腫患者さんに対するシンプルリンパドレナージ(SLD)の効果を示す十分なデータは,上肢・下肢ともエビデンス(科学的根拠)に乏しく,現時点では勧められません。 リンパドレナージには用手的リンパドレナージ(manual lymphatic drainage;MLD)とシンプルリンパドレナージ(simple lymphatic drainage;SLD)があります。MLDは障害のあるリンパ経路の活動を増やし,リンパ管を□回することによって停滞しているリンパ流を改善することができます。さらにSLDはより簡便で,患者さんおよびご家族が自宅で行える方法です。MLDが一定の教育を受けた医療者が行うのに対し,SLDは患者さんやご家族が行うもので,セルフリンパドレナージと呼ばれることもあります。 上肢リンパ浮腫治療においては,MLD単独ではなく,圧迫療法やエクササイズ,スキンケアを併用した治療が行われます。そのため,報告されている論文においてもMLD単独ではなく,圧迫療法との併用の効果検証が示されています。また,MLDに関しては,リンパ浮腫の重症度や治療回数,期間などにより効果の違いがあり,施行する対象を選択して適切な頻度や期間を検討することにより,効果を発揮できる可能性があると考えられます。SLDについては,十分なデータがないため,単独の効果はいまだ不明であり,現時点では勧められません。推奨続発性リンパ浮腫に対して,用手的リンパドレナージ(MLD)は標準治療として勧められますか?続発性リンパ浮腫に対して,シンプルリンパドレナージ(SLD)は標準治療として勧められますか?解説

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