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AAAQ. リンパドレナージなどのリンパ浮腫の治療(複合的治療)は保険適用でしょうか? 2016年からリンパ浮腫の複合的治療は,施設基準を満たしている施設で医師の指示のもと行った場合,保険適用になりました。現在,重症の患者さんには40分以上で200点,それ以外の患者さんには20分以上で100点の診療報酬がついています。また,施設に問い合わせて保険で治療を行っているか確認してみると良いかと思います。Q. シンプルリンパドレナージ(セルフリンパドレナージ)は毎日したほうがよいのでしょうか? エビデンスがないので,やらないほうがよいでしょうか? シンプルリンパドレナージ(SLD)は,発症後にリンパ浮腫を軽減させる効果について,現時点ではほとんど研究されていない状況です。また,シンプルリンパドレナージのやり方には,定められた方法はありません。むしろ自分の体を触ることで,自覚症状では気づかなかったむくみや体の変化に早期に気づくことが大切と思います。 有害事象がない場合,シンプルリンパドレナージ(SLD)を行うことを止めることはありませんが,状態の改善を望む場合は,エビデンスが高い治療が優先されるべきであり,継続的に日々のセルフケアを行うことが重要となります。Q. セルフケアは自分にとってとても効果があるのですが,シンプルリンパドレナージ(セルフリンパドレナージ)はなぜガイドラインでは推奨されていないのでしょうか? セルフケアには保湿などを含めたスキンケアや感染や怪我などの予防,体重管理や運動などが含まれますがシンプルリンパドレナージ(SLD)は含まれません。専門家ではなく,患者さん自身が行うシンプルリンパドレナージ(SLD)は,行う人によって手技や実施時間がまちまちになるなど,一定の条件設定が難しく,客観的な効果を示しにくいため,シンプルリンパドレナージ(SLD)の治療効果については,十分に検証されていないのが現状です。下肢リンパ浮腫(治療)72 下肢リンパ浮腫治療においても,MLD単独ではなく,圧迫療法やエクササイズ,スキンケアと併用した治療が行われます。そのため,上肢同様に報告されている論文においてもMLD単独ではなく,圧迫療法との併用の効果検証が示されています。また,上肢リンパ浮腫と比べ下肢リンパ浮腫に対するMLDの治療効果を示す十分なデータは少なく,上肢の報告を考慮すると,患者さんの意向を十分に検討し,かつ効果がはっきりと評価される場合に限り施行が推奨されます。SLDについても,上肢同様にSLD単独の施行は報告例も少なく,現時点では勧められません。Q&A

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