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エネルギーデバイス・電子機器肝実質破砕装置組織切離中の出血,露出した脈管の焼灼切離などを同時に行うために,チップ先端に高周波手術装置から通電に対応しているかどうか。またそのスイッチがハンドピースにボタンとしてあるか,フットスイッチか。腹腔鏡下肝切除に対応したハンドピースがラインナップされているか。同じハンドピースで,チップの変更のみで対応する機種もある。また,腹腔鏡の気腹圧の低下を防ぐために,超音波振動のオンオフと吸引を連動させたLapモードを搭載されている。571-05 肝切除術においてその肝切離は,ペアンクラッシュ法と肝実質破砕装置を用いる方法が主流である。ここでは,肝実質破砕装置,特に広く使われている超音波破砕吸引装置について主に取り上げる。超音波破砕吸引装置の原理超音波吸引破砕装置は,現在まで複数の企業より,製造・販売されてきたが,基本的には類似した構造である。次に述べる3つの機能を有し,各種組織内の脈管構造を温存しながら切離することを可能にしている。数µm~数10 µmで長軸方向に振動し,先端が細くなったチタン製中空ホーンに伝えられ増幅される。増幅された超音波振動はハンドピース先端のチップでは振幅(長軸方向のストローク)が数µm~300 µm程度になり,チップに接触した組織を高速振動させ破砕する。チップの直接的な衝撃による破砕のほかに,水の含有量が多い肝実質細胞などの組織は超音波振動によるキャビテーション(振動による水の水蒸気化:空洞化現象)により破砕される。本体装置より供給される電気エネルギーによりハンドピースに内蔵された超音波振動子が周波数 23~36 kHz(肝切離では23 kHzを使用),振幅が超音波振動子にはおもに,磁歪式と電歪式が用図1 超音波破砕吸引装置の機能図2 洗浄と吸引54・トランスデューサーの種類・振幅 amplitude・周波数 frequency・Reseve power・チップサイズ・組織の強度・振幅しているチップの連客・破砕した組織を浮遊させる。・チップと組織の密着度を高める。Aspiration・術野の洗浄・組織とチップの密着度を高める。UltrasonictransducerIrrigation超音波破砕吸引装置の機能 シェーマFragmentationviii1-05肝実質破砕装置(超音波破砕吸引装置 ultrasonic aspirator)① 組織破砕性能② 組織選択性能③ チップの種類④ 電気メスとの接続⑤ 腹腔鏡への対応⑥ コンパクトさ,セッティングのしやすさハンドピース,ケーブル,コンソールが大きいほど,取り回しが悪くなる。磁歪式は,冷却系のため,通常サイズが大きくなりやすい。また,ディスポーザブルのカートリッジ・イリゲーションチューブ部分の接続が複雑であるほど,チューブ閉塞や,吸引が効かないなどのトラブルが発生しやすい。本書は外科手術の際に使用するデバイス・薬品等について,実際にそのデバイス類を使用する外科医の視点から,性能比較・解説を行っております。紙面の構成上カタログの体をなしていますが,記述は各メーカーの情報を元にNPO法人国際健康福祉センターデバイス研究会によって編集されたものです。独自に設定した「性能比較のポイント」により同一カテゴリーに属する製品間での比較ができ,それぞれの特徴を捉えることが容易となるよう構成しています。ただし,あくまで各メーカーが公表しているカタログとは異なる編集著作物ですので,製品購入の検討および使用の際にはメーカー担当窓口へのお問い合わせや添付文書等,最新の公式情報を参照いただくようお願いします。<基本知識の解説>各製品の理解を深めるため,各章のはじめに,原理や構造などその章のカテゴリーに属するデバイスの基本知識を解説しています。3つの機能(図1, 図2)■超音波振動(ultrasonic vibration)<性能比較のポイント>次項目で紹介される各製品の特徴を捉えるための共通のポイントを本項で解説しています。性能比較のポイント組織破砕性能は主に振幅(amplitude)の設定にて決まる。その出力調整のしやすさが重要である。最近は,フットペダルにより切離中に無段階調節ができる機種が出てきている。通常は切離組織の性質に合わせて,組織破砕性能を上下させて対応するが,破砕能力を維持したまま組織温存性を上げるため,振幅(amplitude)と単位時間当たりの振動回数(frequency),そしてReserve powerの組み合わせを変更した特殊モードをプリセットしている機種がある。先端チップの形状は,切離性能や切離操作のしやすさに直結する。使用組織や手術法により,細かにチップを変更できることが必要である。肝切離に関しては,通常内径2-2.6 mmのチップが用いられている。本書の構成本書の見方・注意点

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