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エネルギーデバイス・電子機器電気メスジェネレーター3ソフト凝固モードモノポーラとバイポーラ① 電気メスの各種モード② 出力方式・組織抵抗値検知③  電気メス以外のエネルギーデバイス使用の可否④ 安全性にすることで電流密度が高まり,切れが良くなる。放電を伴わない凝固モードであり,ジュール熱のみで白色凝固を完成する。放電圧がかからないので,組織の温度は100℃以上には上昇せず,組織が切開されることはなく,黒色凝固することもない。エフェクト(電圧)を下げて時間をかけて凝固すると,より深部まで凝固層が完成する。電気メスの電極には1本のメス先電極を有するモノポーラと2つの電極を有するバイポーラがある。モノポーラでは電気メス本体から出力された高各メーカーで切開モードと凝固モードの中でも,切開成分と凝固成分の割合を変化させることで複数のモードを備えている機種が多い。最近はモノポーラだけでなく,バイポーラでも複数のモードを有する機種が増えている。またソフト凝固の有用性が広く認知されるようになり,各メーカーで導入が進められつつあり,性能も強化されてきている。消化器内視鏡処置専用のモードを有するモデルがある。また泌尿器科手術で用いられる水中(電解質溶液)モード(泌尿器科モード)に関してはバイポーラ出力が可能となっているモデルがある。電気メスの出力方式に関して,歴史的にアメリカ製のものは出力維持(電力制御),ドイツ製のものは出力制御(電圧制御)という違いがある。出力維持型は,ユーザーが任意の出力を設定すると,組織抵抗に合わせてCPUが電圧を自動制御して出力を維持する。つまり組織抵抗が高いときは,電圧を上げることで出力を維持する。一方,出力制御型ではユーザーは電圧上限を設定すると,CPUは組織抵抗に合わせて出力を自動制御する。つまり,切れやすい組織のときは出力を落とし,周波電流はメス先から患者の体内を流れて対極板で回収される。メス先と生体組織が接触している面積は極めて小さく,この部分に電流が集中することで高いジュール熱や放電熱が発生する。対極板と生体組織の接触面積は広く,ジュール熱は分散され,生体に影響を与えない。バイポーラは電気メス本体から出力された高周波電流が一方の電極から生体組織に流れ,もう一方の電極から回収される。そのため,体内に広く電流が流れることはなく,対極板も必要ない。バイポーラは2つの電極で挟んだ組織にのみ高周波電流が流れ,その組織のみ発熱するため,周囲への熱損傷が少なく,モノポーラよりも安全性が高い。切れにくい組織のときは電力上限以下で出力を上げる。組織抵抗値検知を導入し,検知頻度を高めることによって,出力の最適化を図っている。電気メス本体を購入する上で,電気メス以外のエネルギーデバイスの使用の可否を確認しておく必要がある。具体的にはベッセル(血管)シーリングシステム搭載の有無とベッセルシーリングシステムを使用する際に「超音波凝固切開装置等加算」を請求できる機種であるかどうかがポイントとなる。またアルゴンプラズマ凝固を付加できる機種も存在する。電気メスの安全性として,対極板の剥がれによる熱傷対策が最も重要と考えられる。現在発売されている電気メス本体は,ディスポーザブル分割型対極板に対応し,対極板接触状態監視システムを標準装備している。プラスアルファで対極板の貼る向きを検知する対極板対称性モニターシステム(ERBE社)や従来の導電型対極板よりも安全性が高い容量結合型対極板への対応で差別化が図られている。1-01性能比較のポイント (電気メス本体)

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