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4アウトカム毎のシステマティックレビューの結果挙児希望を有する乳癌患者に対する生殖医療について21CQ11)妊娠率 1編のコホート研究1),2編の症例対照研究2)3)と5編4)〜8)の症例集積研究のシステマティックレビューでは凍結胚移植による妊娠率は37.5〜80.0%であった。海外では代理懐胎による妊娠・出産が含まれていることから,データの解釈には注意が必要である。研究の異質性,研究数が少ないこと,すべてが観察研究であることからエビデンスの確実性は弱とした。2)生児獲得率 1編のコホート研究1),2編の症例対照研究2)3)と5編4)〜8)の症例集積研究のシステマティックレビューでは凍結胚移植による生児獲得率は17.6〜50%であった。2編の症例対照研究の結果2)3)では,乳癌患者における凍結胚移植あたりの生児獲得率はそれぞれ32.3%,45.0%であった。いずれも同年代の不妊女性症例と同等の結果であり,統計的有意差はなかった。研究の異質性,研究数が少ないこと,すべてが観察研究であることからエビデンスの確実性は弱とした。3)手技完了までの期間 症例集積研究1編8)と症例対照研究1編9)のシステマティックレビューを行った。本邦からの症例集積研究8)からは,初診から採卵までの期間は平均44.3±49.8 日と報告され,施設内紹介か施設外紹介かで大きな差異があることが指摘された。研究の異質性,研究数が少ないこと,すべてが観察研究であることからエビデンスの確実性は弱とした。4)手技による合併症 コホート研究1編10)と症例対照研究1編11)のシステマティックレビューを行った。Muteshi10)らのコホート研究の結果からは乳癌患者における手技による合併症の発症率は2.7%(72人中1例の中等度のOHSSと1例の下肢痛)報告され,他がん種も含む症例対照研究からは0.15%(684例中1例のOHSSのみ)であった。研究の異質性,研究数が少ないこと,すべてが観察研究であることからエビデンスの確実性は弱とした。5)乳癌治療開始までの期間 症例集積研究1編8)と症例対照研究1編9)のシステマティックレビューを行った。本邦の症例集積研究からは,初診から採卵までの期間は平均44.3±49.8 日と報告された。また,症例対照研究1編9)からは,採卵から原疾患治療開始までは,平均15.8±15.2 日であった。研究の異質性,研究数が少ないこと,すべてが観察研究であることからエビデンスの確実性は弱とした。6)再発率(無病生存期間 ; DFS) コホート研究1編1),症例対照研究2編9)12),症例集積研究1編6)のシステマティックレビューの結果からは,妊孕性温存による無病生存期間(DFS)の増悪は認められなかった。1

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