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5システマティックレビューのまとめ 2編のコホート研究,5編の症例対照研究と5編の症例集積研究の12編から,    6推奨決定会議の結果 ガイドライン作成委員は,乳癌治療医4人,産婦人科医4人,看護師・倫理・医療統計・患者各々1人ずつの合計12人であった。申告の結果,経済的・アカデミック両者のCOIによる申告22Letourneau12)らは,胚および未受精卵子の凍結保存を行った乳癌患者207例と凍結保存をしていない122例のDFSは,観察期間は43カ月と限られているものの,それぞれ93%,94%, HR0.7(95%CI:0.3-1.7)と報告している。 本邦からの症例集積研究6)では,胚および未受精卵の凍結保存を行った17人中に局所再発2 人(3.8%),遠隔再発1 人(1.9%)が認められた。再発を認めた2人は2年で術後内分泌治療を妊娠希望のために中断していた。研究数は少ないが,バイアスリスクが低いこと,研究の直接性,コホート研究があることからエビデンスの確実性は強とした。7)全生存期間(OS) コホート研究1編1)のシステマティックレビューの結果では,妊孕性温存の有無で乳癌死亡・全死亡率には差はなかった。観察期間が介入群で化学療法終了後23.4カ月(範囲 7.5-63.6カ月)と短いこと,研究数が少ないことからエビデンスの確実性は弱とした。8)費 用 費用対効果について検討された研究はなかった。 ・妊娠率 ・生児獲得率 ・手技完了までの期間・手技による合併症 ・乳癌治療開始までの期間・再発率(無病生存期間 ; DFS)・全生存期間(OS)・費用の8つのアウトカムについて検討した。益: 妊娠率,生児獲得率は,乳癌の対照群(妊孕性温存をしなかった群)と直接比較したものはなかったが,乳癌でない同世代女性と比較して凍結胚移植あたりの出産率は差がないとする報告があった。ただし,海外では代理母による妊娠・出産が可能であることから解釈には注意が必要である。害: 手技完了までの期間・手技による合併症・治療開始までの期間・DFS・OSにおいては妊孕性温存を施行することによる害の報告は認めなかった。費用については文献がなく評価できなかった。

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