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・CET,PANIはRAS(KRAS/NRAS)遺伝子野生型にのみ適応される163)。・ Pembro,Nivo,Ipiはミスマッチ修復機能欠損例(Mismatch repair deficient[dMMR]/High-2)切除不能進行・再発大腸癌に対する薬物療法・ 薬物療法を実施しない場合,切除不能と判断された進行・再発大腸癌の生存期間中央値(MST:median survival time)は約8カ月と報告されている158)。最近の薬物療法の進歩によってMSTは30カ月を越えるまで延長してきた159‒161)が,いまだ治癒を望むことは難しい状況である。・ 薬物療法が適応可能と判断される患者に対しては,一次治療開始前にRAS(KRAS/NRAS)遺伝子検査,BRAFV600E遺伝子検査,MSI検査を実施する。ただし,術後再発例ですでにこれらの検査結果が判明している場合はその結果を診療に用いる。34 各 論・ 薬物療法の目標は腫瘍の進行を遅延させ,延命と症状コントロールを行うことであるが,・ PS 0~2の患者を対象としたランダム化比較試験において,薬物療法群は抗癌薬を用いなfrequency Microsatellite instability[MSI-H])にのみ適応される。・ ENCO,BINIはBRAFV600E遺伝子変異型のみに適応される。・ ENTR,LAROはNTRK融合遺伝子陽性例のみに適応される。薬物療法が奏効し,転移巣が治癒切除された場合には,治癒が得られる場合もある。い対症療法(BSC)群よりも有意に生存期間が延長することが示されている158,162)。・薬物療法を考慮する際には,最初にその適応可否について判断する。   ・ 薬物療法の適応となる(fit)患者とは,全身状態が良好で,かつ主要臓器機能が保たれ,重篤な併存疾患がなく,一次治療のOX,IRIや分子標的治療薬の併用療法に対する忍容性に問題はない,と判断される患者である〔一次治療の方針を決定する際のプロセス参照〕。   ・ 薬物療法の適応に問題がある(vulnerable)患者とは,全身状態や,主要臓器機能,併存疾患などのため,一次治療のOX,IRIや分子標的治療薬の併用療法に対する忍容性に問題がある,と判断される患者である〔一次治療の方針を決定する際のプロセス参照〕。   ・ 薬物療法の適応とならない(frail)患者とは,全身状態が不良,または主要臓器機能が保たれていない,重篤な併存疾患を有するなどのため,薬物療法の適応がないと判断される患者である〔一次治療の方針を決定する際のプロセス参照〕。適応の原則 (1)病理組織診断にて結腸または直腸の腺癌であることが確認されている。 (2)治癒切除不能と診断されている。 (3) 全身状態や,主要臓器機能,重篤な併存疾患の有無により薬物療法の適応がある(fit)または薬物療法の適応に問題がある(vulnerable)と判断される(各薬剤の添付文書を参照のこと)。

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